一人親方のデメリットとは?対策や仕事をする際に重要な3つのノウハウを紹介
一人親方として独立開業する場合、会社に雇われていたときと比べて働き方が大きく変わります。収入面や人間関係に関するメリットが見込める一方、病気・怪我や社会保険でのデメリットも生じるため、それらについてあらかじめ把握しておくことが大切です。
この記事では、一人親方として働くデメリットに加えて、そのデメリットを克服するための対策を紹介します。また、仕事における重要な3つのノウハウも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.一人親方として働くデメリット
- 1.1.デメリット1:収入が安定しにくい
- 1.2.デメリット2:病気や怪我に対するリスクが高い
- 1.3.デメリット3:仕事量に限度がある
- 1.4.デメリット4:社会的信用が不足している
- 1.5.デメリット5:社会保険の制限がある
- 1.6.デメリット6:確定申告の手間がかかる
- 2.一人親方として働く際のデメリット対策
- 2.1.労災保険に特別加入する
- 2.2.従業員を雇う
- 2.3.ローン契約やクレジットカード作成は独立前に済ませる
- 2.4.建設国保や私的年金を活用する
- 2.5.確定申告は税理士に任せる
- 3.仕事をする際に重要な3つのノウハウ
- 3.1.営業や交渉のスキルを身に付ける
- 3.2.人脈を活用する
- 3.3.健康管理を徹底する
- 4.まとめ
一人親方として働くデメリット
一人親方として働く場合、以下のようなメリットが見込めます。
- 一人親方は会社員として働くときより仕事の単価が高くなる
- 一人親方は働き方次第で収入を大きく増やせる可能性がある
- 上司や同僚との人間関係に気を配る必要がない
- 一人親方になると働き方を自由に決めることができる
- 一人親方なので受注する仕事や取引先を自分で選ぶことができる
これだけ見ると非常に魅力的ですが、一人親方にはデメリットもいくつかあるため、決して楽に稼げるわけではありません。
おもな6つのデメリットをまとめたので、こちらも一緒に押さえておきましょう。
デメリット1:収入が安定しにくい
一人親方はいわゆる「個人事業主」に該当するので、原則として仕事は自分で受注しなければならないというデメリットがあります。そのため、自分で営業活動を行なう必要があります。見積もり作成や宣伝活動もやらなければならないため、一人親方になるととにかく多忙になりがちです。
また、一人親方の場合、仕事の受注量が増えればそれに比例して収入もアップしますが、逆に仕事がなくなると収入はゼロになってしまうデメリットも含んでいます。会社員として働くときのように安定した収入が見込めないため、ハイリスク・ハイリターンな働き方といえるでしょう。
デメリット2:病気や怪我に対するリスクが高い
一人親方には有給休暇や休業補償といった制度がないので、仕事を休んだ分だけ収入は減ってしまうデメリットがあります。
もちろん、健康管理やリフレッシュのために休むことは重要ですが、病気や怪我のせいで長期休暇を取ることになった場合、収入が完全に途絶えてしまうデメリットもあるのです。
建設業をはじめ、一人親方は危険性の高い仕事に携わるケースが多いので、病気や怪我には十分注意しなければなりません。
デメリット3:仕事量に限度がある
一人親方はその名のとおり、基本的に1人で仕事を進めます。人的リソースが少ないため、1日あたりにこなせる仕事量はそれほど多くありません。
仕事量に限度がある関係上、受注できる仕事内容やボリュームにも制限が生じるデメリットが発生してしまいます。
デメリット4:社会的信用が不足している
一人親方を含む個人事業主には「会社」という後ろ盾がないので、どうしても社会的信用を低く見られがちです。大企業と直接取引することも難しく、仕事の幅を思うように広げられないことも考えられます。
また、一人親方は社会的信用に欠ける分、融資やローンの審査で不利になりやすいこともデメリットです。
デメリット5:社会保険の制限がある
一人親方は個人事業主なので、雇用保険の対象には含まれていません。失業手当を受け取れないため、会社員と比べて廃業したときのリスクが高いといえるでしょう。育児休業や教育訓練に関する給付も受け取れないので、自分でやりくりする必要がある点はデメリットといえるでしょう。
また、健康保険(健保)や厚生年金に加入できないこともデメリットです。国民健康保険(国保)は保険料が高く、国民年金は受給金額が低いので、その辺りの対策も必要となるでしょう。
デメリット6:確定申告の手間がかかる
一人親方は自分で確定申告を行なって、所得税や個人事業税を納めなければなりません。少しでも節税したい場合、帳簿付けや領収書管理もきちんと行なう必要があるので、それなりの手間がかかるというデメリットが発生します。
一人親方として働く際のデメリット対策
必要な対策を講じれば、上記で紹介したデメリットをある程度克服することができます。一人親方として働くなら、以下のデメリット対策方法も要チェックです。
労災保険に特別加入する
一人親方は労働者ではなく個人事業主なので、本来なら労災保険の対象には含まれません。しかし、業務内容だけでなく被災状況が労働者とほぼ同等という事情から、一人親方は労災保険への特別加入が認められています。
特別加入の手続きを済ませておけば、仕事(通勤)による傷病で働けないとき、万が一死亡してしまったときに手厚い補償が行なわれるため、安心して働けるでしょう。
また、仕事によっては「労災保険に加入している」ことが受注条件になっているケースもあるので、それを考慮しても加入必須といえます。
従業員を雇う
一人親方として働く場合でも、必要に応じて従業員(手元作業員・事務スタッフなど)を雇うことができます。人的リソースが増えれば、その分だけ1日あたりの仕事量も増やせるため、結果として受注する仕事の幅を広げることが可能です。
ただし、従業員を雇う場合、ハローワークで雇用保険に関する手続きを行なったり、給与計算をしたりするといった手間が生じます。従業員の人数や関係性によっても変わるため、注意が必要です。
ローン契約やクレジットカード作成は独立前に済ませる
ローン契約やクレジットカード作成の審査では「安定した収入」が重視されるので、一人親方として独立すると審査に通りづらくなります。
会社で働いているときに手続きを済ませておけば、あとから困ることもなくなるでしょう。
建設国保や私的年金を活用する
建設連合国民健康保険(建設国保)とは、一人親方や従業員5名未満の個人事務所で働く職人などが加入できる、同業者国保組合の一つです。国民健康保険(国保)と比べると建設国保は保険料が安いため、結果として手元に残るお金を増やせます。
また、確定拠出年金や国民年金基金といった私的年金制度を活用すれば、老後のためのお金を積み立てられるため、これらへの加入もおすすめです。
確定申告は税理士に任せる
確定申告(特に青色申告)は手続きがやや難しく、慣れないうちは時間がかかったり、ミスが起こったりする可能性もあります。
専門知識を持った税理士に依頼すれば、スピーディーかつ正確に手続きを行なってくれるため、ぜひ検討してみましょう。
仕事をする際に重要な3つのノウハウ
高単価の仕事をたくさん受注できれば、一人親方として安定した収入を得られるようになります。しかし、そのレベルに到達するためには、まず基礎を固めることが大切です。
そこで、上記のデメリットや対策を踏まえつつ、成功につながる3つのノウハウを紹介します。
営業や交渉のスキルを身に付ける
一人親方として仕事を受注するためには、本業に関するスキルだけではなく、営業や交渉のスキルも求められます。優れた技術や資格を持っていても、営業活動や単価交渉ができていないと思うように売り上げを伸ばせないでしょう。
営業や交渉のスキルを身に付ける方法はいくつかありますが、慣れないうちは独学よりセミナーや研修を通じて勉強したほうが効果的です。
人脈を活用する
必要なスキルを身に付けていても、最初の頃は一人親方としての信用や実績がないので、仕事を受注するのに苦労するかもしれません。
しかし、以前勤めていた会社の上司や同僚、知り合いの業者との人脈を活用すれば、独立開業直後でも仕事を紹介してもらえる可能性があります。
直接の知り合いの人脈がなくとも、パートナー募集サイトや職人マッチングサイトで新たな人脈を構築することもできます。仕事を受けるチャンスを増やすためにも、人脈を広げ、活用していきましょう。
健康管理を徹底する
一人親方は「仕事を休む=収入が減る」という働き方なので、日頃から健康管理に気を配ることも大切です。適度に休息することを心がけつつ、メリハリをつけて仕事に臨みましょう。
また、どれだけ注意していても万が一の事態は起こりうるので、先述したように労災保険への特別加入も忘れずに済ませておきましょう。
まとめ
一人親方は、会社員と比べてもメリットとデメリットが混在している働き方です。どちらが優れているというものではないので、両方の特徴をきちんと把握したうえで将来のビジョンを考えることが重要となります。
独立開業を目指すのであれば、この記事で紹介したデメリット対策や3つのノウハウを参考にしつつ、多くの仕事を受注できるルートを確立しましょう。
また、一人親方は会社員以上に「身体が資本」なので、健康管理も忘れないようにしてください。