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一人親方が納めるべき税金とは?税金対策や注意すべき3つのポイントを解説!


 一人親方として事業を営むにあたり、悩みどころとなりやすいポイントが「税金」です。税金を納めなかった場合、加算税や差し押さえといったペナルティを課されてしまうので、きちんと納税する必要があります。

 しかし、税金に対して正しい知識を身に付けることで、節税を行なうことが可能です。

 この記事では、一人親方が納めるべき税金を踏まえつつ、節税につながる税金対策や注意すべき3つのポイントも紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.一人親方が納める税金の種類
    1. 1.1.所得税 
    2. 1.2.住民税
    3. 1.3.個人事業税
    4. 1.4.消費税
  2. 2.対策その1<経費計上> 
    1. 2.1.地代家賃
    2. 2.2.水道光熱費
    3. 2.3.通信費
    4. 2.4.支払手数料
    5. 2.5.車両費
    6. 2.6.接待交際費
    7. 2.7.雑費
    8. 2.8.専従者給与
  3. 3.対策その2<所得控除> 
    1. 3.1.基礎控除
    2. 3.2.青色申告特別控除
    3. 3.3.配偶者控除
    4. 3.4.扶養控除
    5. 3.5.社会保険料控除
    6. 3.6.生命保険料控除
    7. 3.7.損害保険料控除
    8. 3.8.医療費控除
    9. 3.9.確定拠出年金
    10. 3.10.【補足】税額控除について
  4. 4.一人親方の税金で注意すべき3つのポイント
    1. 4.1.確定申告を忘れずに実施する
    2. 4.2.領収書をきちんと受領・保管する
    3. 4.3.困ったときは税理士に相談する
  5. 5.まとめ

一人親方が納める税金の種類

 一人親方として働く場合、以下の4種類の税金を納める必要があります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税

 それぞれ特徴や計算式が大きく異なる一方、課税期間は4種類すべて毎年1月1日~12月31日で共通しています。法人に対する法人税は事業年度を課税期間としているので、その違いにも注意が必要です。

 税金の種類ごとに概要や計算式をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

所得税 

 「1年間で得た所得に対して課される税金」です。国に納めるので、国税に分類されます。

所得税のことを学ぶ場合、まずは所得と収入の違いを押さえなければなりません。

 受注した仕事が終わると、依頼元から一人親方に報酬が支払われますが、これは収入に該当します。

 一方、所得は収入から必要経費を差し引いたものです。所得税として納める税額は、この所得からさらに所得控除を差し引いた「課税所得」に税率をかけて算出されます。所得は全部で10種類ありますが、一人親方なら「事業所得」が対象です。

 また、所得税には所得が増えるほど税率も上昇する「累進課税制度」が適用されていることも覚えておきましょう。税率は最低5%、最高45%とかなりの差があります。

<計算式>

収入-必要経費=所得

所得-所得控除=課税所得

課税所得×税率-税額控除額=所得税

 なお、会社勤めのサラリーマンと違い、一人親方は「確定申告」を行なって所得税を納めなければなりません。この確定申告でいかに課税所得の金額を減らせるかどうかが、節税の成否を分けるポイントとなります。

住民税

 「地域社会の生活を守る財源として住民に課される税金」です。こちらは地方税なので、在住している都道府県および市区町村に納めます。

 住民税は大きく分けて「均等割額」と「所得割額」から構成されていることが特徴です。均等割額は地方自治体によって少し差が出ることもありますが、基本的に5,000円でほぼ一定と考えて問題ありません。

 一方、所得割額はその名のとおり、確定申告で伝えた所得に基づいて算出されます。税率は都道府県民税4%、市区町村民税6%の計10%です。なお、計算式は以下になります。

<計算式>

都道府県民税1,500円+市区町村民税3,500円=均等割額5,000円

課税所得×10%-税額控除額=所得割額 

個人事業税

 「一人親方のような個人事業主に対して課される税金」です。こちらも地方税となっています。

 あらかじめ290万円分の控除が設けられているため、1年間の所得が290万円以下なら課税対象外です。また、携わっている仕事が法定業種に含まれない場合、同じく課税対象から外れるため、個人事業税を納める必要はありません。

 一方、所得が290万円を超えた場合、所得から控除分を差し引いた金額に対し、業種ごとに定められた税率(3~5%)をかけて算出されます。建設業の場合、税率は5%です。下記の計算式を用いて一度計算してみましょう。

<計算式>

(所得-各種控除-290万円)×5%=個人事業税

消費税

 「商品やサービスの購入金額に対して課される税金」です。こちらは国に納める国税ですが、個人の買い物における購入金額だけではなく、仕事上の請求金額にもかかってきます。

 ただし、一人親方として独立開業後2年間は全額免除されるので、消費税を納付する必要はありません。また、以下の条件をすべて満たす場合でも課税対象外です。

  • 前々年度の課税売上高が1,000万円以下
  • 前年度1月~6月の課税売上高もしくは給与支払額が1,000万円以下(※)
  • 個人事業主として課税事業者届出書を提出していない

 ※前年度1月~6月の売上高と給与支払額の両方が1,000万円を超える場合は、開業2年目でも農材義務が発生する場合があります。

 一方、課税対象となった場合、以下のように算出されます。

<計算式>

課税売上高の10%-課税仕入れ等の10%=消費税

 これは2021年9月時点の消費税率に基づく計算式なので、今後変わる可能性もあります。 

対策その1<経費計上> 

 一人親方の税金は「確定申告における所得金額」がベースとなって算出されます。つまり、収入から差し引ける必要経費を増やせば、その分だけ課税所得を減らせるので、結果として節税につながるのです。

 節税を成功させるためには、経費計上できる勘定項目を押さえることも重要となってきます。

地代家賃

 仕事用の事務所を借りている場合、家賃(管理費・共益費など含む)は経費として計上できます。

 自宅を事務所代わりにしている場合でも、家事按分という方法に基づいて部分的に計上することが可能です。例えば、自宅の床面積100㎡のうち、20㎡を事務所として使っている場合、家賃の20%分を経費計上できます。

 また、仕事で車を使っている場合、駐車場の賃料も経費になるので、忘れずに計上しましょう。

水道光熱費

 その名のとおり水道代・電気代・ガス代などを指します。事務所を借りている場合はもちろん、自宅兼事務所でも家事按分が適用されるため、仕事で使っている分は経費として計上可能です。

通信費

 携帯電話やインターネットの利用料金を指します。こちらも家事按分が適用されるため、自宅兼事務所でも仕事で使っている分は経費として計上可能です。

支払手数料

 金融機関の振込手数料、不動産会社等の仲介手数料、専門家などへの相談料などが支払手数料になります。

 なお、一人親方が労災保険に特別加入する際に、一人親方団体に労災保険料以外に入会金、組合費、年会費、手数料などを支払うことがありますが、こちらは支払手数料や雑費として経費として計上する必要があります。なお、労災保険料は後述しますが社会保険料控除として所得控除の対象です。

車両費

 仕事で使っている車のガソリン代や修理費用、整備費用を指します。車検費用も対象なので、きちんと経費計上しましょう。

接待交際費

 取引先との打ち合わせにともなう食事代や接待ゴルフのプレー代、お中元・お歳暮の購入費用を指します。また、取引先の方が結婚するときに贈るご祝儀なども経費対象です。

雑費

 作業服の購入費用やクリーニング代、銀行振込にかかった手数料は雑費として計上できます。休憩で立ち寄ったカフェでの飲食代も対象となるので、ぜひ覚えておきましょう。

専従者給与

 生計を一にしている家族(配偶者・子供など)に事務仕事を任せていて、なおかつ給料を支払っている場合、その給料は経費になります。

 ただし、専従者給与を計上するためには「青色申告」で確定申告を行なわなければなりません。「白色申告」は専従者控除となり、経費計上できる金額が少なくなります。

対策その2<所得控除> 

 税金対策を講じるにあたり、もう一つ押さえておきたいポイントが「所得控除」です。所得控除を受けると課税所得がさらに減るため、より節税効果が高まります。

 一人親方が活用できる所得控除をまとめたので、こちらも併せてチェックしてみてください。

基礎控除

 基礎控除は今まで一律38万円となっていましたが、2020年の法改正にともない通常48万円に増えています。ただし、所得金額が2,400万円を超える場合、控除額も引き下げられるため、注意が必要です。

青色申告特別控除

「青色申告」で確定申告を行なう場合、電子申告なら65万円、それ以外なら55万円の控除を受けることができます。 

 ただし、青色申告は帳簿付けなど準備に手間がかかりやすいため、税理士などに依頼するのがおすすめです。

配偶者控除

 一定の条件を満たす配偶者がいるときに受けられる控除です。控除額は13~38万円となっており、納税者の所得金額によって変動します。

 1,000万円以上の所得がある場合、あるいは上記で紹介した専従者給与の対象になっている場合、配偶者控除は受けられません。

扶養控除

 一定の条件を満たす扶養家族がいるときに受けられる控除です。こちらは扶養家族の年齢によって控除額が変動し、38~63万円の範囲で決定されます。

社会保険料控除

 健康保険料や年金保険料など自分自身又は親族の保険料を支払った時に受けられる控除です。社会保険料控除は上限がありません。そのため支払った保険料の全額が所得控除の対象です。なお、一人親方が労災保険に特別加入する際に支払う労災保険料も社会保険料控除の一つです。

生命保険料控除

 生命保険や介護・医療保険、個人年金保険に加入しているときに受けられる控除です。控除額は最大12万円ですが、支払った保険料に応じて変動します。 

損害保険料控除

 火災保険などで支払った保険料に応じて、所得税や住民税が課税所得から差し引かれる控除です。火災保険の損害保険料控除は平成19年分から廃止になりましたが、同年、地震保険料の税制改定があり控除の対象になりました。

 これにより所得税が最高で5万、個人住民税は最高で2万5千円課税所得金額から控除されます。

医療費控除

 当年1月1日~12月31日の間に支払った医療費が10万円を超える場合、医療費控除を受けることができます。医療費の金額によって控除額は変動しますが、200万円が限度です。

確定拠出年金

 一人親方は厚生年金に加入できないので、代わりに確定拠出年金で積み立てる人が多く見受けられます。積立金は全額控除されるので、税金対策として非常に有効です。

【補足】税額控除について

 ほかに受けられる控除として「税額控除」があります。こちらは課税所得から直接差し引けるため、所得控除より節税効果に優れていることが特徴です。

 ただし、「配当控除」や「外国税額控除」など、所得控除に比べて条件が限定されています。

一人親方の税金で注意すべき3つのポイント

 ここまで解説してきた内容も踏まえながら、特に注意すべき3つのポイントを紹介します。税金に関するトラブルや仕事への悪影響を起こさないためにも、しっかり押さえておきましょう。

確定申告を忘れずに実施する

 一人親方は個人事業主なので、会社勤めのサラリーマンのように年末調整が行なわれることはありません。所得税を納付するためには、自分で確定申告を行なわなければならないと覚えておきましょう。

 もし確定申告を行なわなかった場合、無申告加算税や延滞税といったペナルティを課されるため、結果として税額が増えてしまうのです。

 また、住宅ローンの契約手続きや保育園の入園手続きでは、所得を証明する必要があります。確定申告を忘れている場合、これらの手続きを進められないため、サービスも受けられなくなってしまうのです。

 建設業の場合、仕事の受注にも関わってくるので、確定申告は必ず行ないましょう。

領収書をきちんと受領・保管する

 経費計上するにあたって、領収書は事業との関連性を示す証拠となります。

 宛名や発行年月日をしっかり記載してもらったうえで受領すること、ファイルなどに入れて丁寧に保管することを心がけましょう。

困ったときは税理士に相談する

 確定申告のやり方がわからない、少しでも節税したいという場合、一人で悩まず税理士などに相談することをおすすめします。正確かつスピーディーに確定申告を実施できる、節税のノウハウを学べるといったメリットを得られるためです。

 相談費用や作成費用はかかってきますが、自身で計算や申告する手間を大きく省けるので、結果として本業に集中しやすくなるでしょう。

まとめ

 一人親方として働く場合、収入を把握し確定申告や税金対策をすべて自分で行なう必要があります。本業と並行して事務作業や経理作業をこなさなければならないため、慣れないうちはかなり大変かもしれません。

 「税金のことにまで手が回らない…」という場合、事務スタッフを雇ったり、税理士に相談したりすることも検討してください。税金の手続きを間違ってペナルティを課されたり、本業に集中できず売上が下がったりしては本末転倒です。

 誰かに任せることも念頭に置きつつ、税金と向き合いましょう。