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一人親方で従業員を雇う!メリットや必要な手続きなど解説!


 一人親方として働く場合、基本的に自分1人で仕事をこなさなければなりません。本業はもちろん、営業活動や事務作業などにも対応する必要があるため、とにかく忙しくなりがちです。

 しかし、従業員を雇うことで「人手や時間が足りない…」「思うように仕事を受注できない…」といった問題から解放される可能性が出てきます。

 この記事では、一人親方が従業員を雇うメリット・デメリットや必要な手続きなど解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.一人親方が従業員を雇うメリットとは?
    1. 1.1.生産性がアップする
    2. 1.2.事務作業を任せられる
    3. 1.3.優遇措置を受けられる可能性がある
  2. 2.デメリットが発生する点にも注意が必要!
    1. 2.1.採用・雇用に関する手続きが必要
    2. 2.2.従業員の仕事に対して責任が生じる
    3. 2.3.従業員を雇えるとは限らない
  3. 3.一人親方が従業員を雇うときに必要な手続きとは?
    1. 3.1.雇用保険への加入
    2. 3.2.労災保険(中小事業主向け)への加入
    3. 3.3.医療保険への加入
    4. 3.4.年金保険への加入
    5. 3.5.雇用契約の締結
    6. 3.6.給与計算の準備
    7. 3.7.36協定の締結
    8. 3.8.就業規則の届出
  4. 4.家族を雇う場合はどうなる?
  5. 5.まとめ

一人親方が従業員を雇うメリットとは?

 一人親方を含む個人事業主でも、必要に応じて従業員を雇うことができます。正社員・契約社員・アルバイト・パートなど、雇用形態も自分で決めることが可能です。

 雇用関係が発生するため、給与の支払いや社会保険の手続きなど行なう必要は出てくるものの、それに見合うだけのメリットを得られるようになります。

生産性がアップする

 従業員という人的リソースが増えれば、その分だけ仕事の生産性がアップします。1人では抱えられなかった大きな案件を受注したり、受注件数を増やしたりできるため、結果として売上アップや事業拡大にもつながるのです。

 また、業務の分散やマニュアル化を行なうことで、仕事の属人化を解消できるというメリットも発生します。傷病や急用でどうしても休まなければならないとき、従業員に仕事を任せられるようになるので、調整を図りやすくなるでしょう。

事務作業を任せられる

 従業員を一切雇わない場合、本業と並行しながら事務作業にも対応しなければならないため、想像以上に大変です。書類のミスや手続き漏れが起こると、さらに手間が増えるので、本業にも悪影響が生じかねません。

 そこで事務作業に詳しい従業員を雇えば、発注書や請求書といった書類の作成、収支の会計処理や確定申告の手続きなど任せることができます。事務作業を自分で行なわなければならないという心配は軽減されるため、本業に集中しやすくなるでしょう。

優遇措置を受けられる可能性がある

 一人親方が従業員を雇うことで、雇用に関する助成金を受け取れるようになったり、税金の支払いで優遇されたりするケースもあります。国や自治体から支援を受けつつ、事業の基盤を固められるのは大きなメリットといえるでしょう。

 優遇措置の有無や内容はそれぞれ異なるため、厚生労働省のホームページなどをこまめにチェックすることが大切です。

デメリットが発生する点にも注意が必要!

 一人親方が従業員を雇う場合、メリットだけではなくデメリットも発生します。デメリットを把握していない状態で採用すると、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。

 メリット・デメリットの両方を踏まえたうえで、従業員を雇うべきかどうか判断することが大切です。

採用・雇用に関する手続きが必要

 当然ながら従業員は勝手に来てくれるわけではないので、まずは採用活動を行なわなければなりません。求人広告の掲載・履歴書のチェック・面接の実施など、一人親方がやるべきことはたくさんあります。

 そして、採用が決まっても雇用保険や医療保険に関する届出、労働契約書の作成といった手続きを行なう必要があるので大変です。

 これらは本業と並行しなければならないため、時間的な負担はもちろん、心身への負担も大きくなってしまうことがあるでしょう。

従業員の仕事に対して責任が生じる

 従業員が仕事で何らかのミスを起こしたら、雇用主である一人親方も責任を負わなければなりません。取引先や一般の方々に迷惑をかけてしまった場合、従業員と一緒に謝罪する必要があります。

 謝罪だけで済むならまだ良いほうですが、仕事に関する設備を壊したり、事故で怪我をさせたりするなど、実害が発生したときは損害賠償を請求される可能性もあるのです。

 従業員がミスを起こさないよう、教育や管理をしっかり行なわなければならないため、逆に負担が増えることも考えられるでしょう。

従業員を雇えるとは限らない

 求人を行なうにあたっては、家族を従業員として雇用する場合を除き、求職者から応募が来るまで待たなければなりません。地域事情や求人広告の内容によっては、なかなか応募が来ないケースもあります。

 仮に採用が決まったとしても、想定より従業員の能力が低かったり、すぐ退職してしまったりする可能性もあるため、注意が必要です。

一人親方が従業員を雇うときに必要な手続きとは?

 従業員の雇用にあたって、一人親方はさまざまな手続きを踏まなければなりません。しかし、今まで人を雇ったことがない場合、何をすればいいのか迷うこともあるでしょう。

 そこで、家族以外の人を雇っているケースを想定して、必要な手続きを以下にまとめました。

雇用保険への加入

 従業員を1人でも雇っている場合、法人・個人事業主を問わず、原則として雇用保険への加入義務が発生します。以下の2つの条件を満たしているなら、正社員・契約社員・アルバイト・パートなど、雇用形態に関係なく加入しなければなりません。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

 初めて雇用保険に加入する場合、従業員を雇用した日から10日以内に労働基準監督署、もしくはハローワークへ届出を行なう必要があります。

 雇用保険に加入しなかったり、手続き漏れが発生していたりする場合、追徴金や懲役といったペナルティを課されるため、確実に手続きを済ませましょう。

労災保険(中小事業主向け)への加入

 一人親方は労働者ではなく個人事業主ですが、仕事内容や被災状況を踏まえた「特別加入制度」によって労災保険に加入できます。

 しかし、年間100日以上労働する従業員を雇う場合、そもそも一人親方の定義から外れてしまうため、労災保険の特別加入も認められなくなるのです。

 このような場合、一人親方は中小事業主という立場となり、中小事業主用の労災保険に切り替えたうえで、従業員と一緒に加入する必要があります。 

医療保険への加入

 一人親方が従業員(常用労働者)を雇うとき、雇用人数によっては医療保険への加入義務が発生します。

 5人以上の従業員を雇う場合、個人事業主として協会けんぽや健康保険組合に加入させなければなりません。

 一方、従業員が5人未満の場合、国民健康保険や建設国保にそれぞれ従業員個人で加入してもらう必要があります。

年金保険への加入

 年金保険も医療保険と同じく、従業員の雇用人数によって加入対象が変わってきます。

 5人以上の従業員を雇う場合、個人事業主として厚生年金に加入させなければなりません。

 一方、従業員が5人未満の場合、それぞれ従業員個人で国民年金に加入してもらう必要があります。ただし、雇用人数が5人未満でも従業員の半数以上が同意していて、なおかつ日本年金機構から認可を受ければ、協会けんぽや厚生年金に加入することが可能です。

雇用契約の締結

 従業員を雇ったら、労働条件(給与体系や勤務時間など)を明示したうえで、雇用契約書を作成する必要があります。そして、署名・捺印も行なって、書面上で雇用契約を締結することが大切です。

 法律上では、雇用主と従業員がお互いに合意していれば、雇用契約書は作成しなくても問題ないとされています。しかし、口頭での確認だけだと後日トラブルが起こりやすくなるため、雇用契約書はきちんと作成すべきでしょう。

給与計算の準備

 一人親方が従業員を雇えば、当然ながら給与を支払う義務が発生するため、毎月の給与計算を行なう必要が出てきます。支給額から各種保険料や税金を差し引いて、最終的な手取り額を算出しますが、項目が多く計算式も複雑です。

 給与計算は時間がかかりやすいうえ、遅延が許されない業務なので、特段の事情がなければ専門家に外注することをおすすめします。

36協定の締結

 36協定とは、労働基準法第36条に基づく「時間外・休日労働に関する協定届」です。従業員に法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えて残業させる場合、あらかじめ36協定を締結し、管轄の労働基準監督署に届出をしなければなりません。

 もし36協定なしで残業させた場合、労働基準法違反として懲役や罰金といったペナルティを課される可能性があります。

 基本的に残業は避けるべきですが、いざというときに備えて36協定を締結することも検討しましょう。

就業規則の届出

 従業員の人数が10人以上の場合、就業規則が必要です。勤務時間や賃金、安全衛生などに関する事項をまとめたうえで、労働基準監督署に届出を行なう必要があります。

 従業員が10人未満なら不要とされていますが、就業規則はルールの明確化・共有に役立つので、できれば作成しておきましょう。

家族を雇う場合はどうなる?

 従業員として雇った人が同居する家族(配偶者・子供・兄弟姉妹)の場合、その家族はもう1人の一人親方(家族従事者)という扱いになります。つまり、実質的に従業員ではないため、上記で紹介した各種手続きも必要なくなるということです。

 雇用主の一人親方と同じく、家族は雇用保険に加入できません。その一方、労災保険への特別加入は認められています。18歳未満の年少者でも一人親方として扱われるため、中学卒業後に見習いとして働いている人なども特別加入することが可能です。

 また、医療保険は国民健康保険もしくは建設国保、年金保険は国民年金に加入するという点も雇用主と同様なので、この辺りはわかりやすいといえるでしょう。

 ただし、家族以外にも従業員を雇っていて、なおかつ以下の条件をすべて満たす場合、家族であってもほかの従業員と同じ扱いになります。

  • 勤務時間・休日制度・給与の支払い形式などが家族以外の従業員と変わらない
  • 雇用主となる一人親方の指揮命令にしたがって働いていることが明確である

 これらが当てはまる場合、労災保険は「中小事業主」のほうに加入するなど、必要な手続きが変わってくるため、注意が必要です。何をどうすべきか迷ったら、自治体や組合に相談してみましょう。

まとめ

 一人親方が従業員を雇うことで、仕事の生産性アップや優遇措置といったメリットを得られるようになります。一方、各種手続きに手間がかかったり、仕事上の責任が増えたりするなどデメリットも発生するため、その辺りも踏まえて雇用を検討することが大切です。

 従業員を1人でも雇えば、対価として給与を支払う必要性が出てくるので、それ以上の利益を出せるように事業を進めなければなりません。自分の目標や働き方も考慮しつつ、最適解を見つけましょう。 

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