労働保険番号とは?意味や調べ方、取得方法を解説
一人親方が元請けから仕事を請ける際に、要求されることがある「労働保険番号」をご存知でしょうか。労働保険番号は、労働保険に加入していることを証明する番号であり、この番号を知らないと元請けから仕事を受注できないことがあります。
そのため、一人親方として働くうえで労働保険番号は知っておくべき知識です。しかし、労働保険番号は普段の生活では聞き馴染みがないため、よくわからないという方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、一人親方として働くうえで重要な労働保険番号の調べ方や労働保険への加入方法について詳しく解説します。
なお、労災センター共済会は一人親方の労災保険の特別加入を取り扱っております。従業員を雇用している場合の労働保険に関しては提携の斉藤労務管理事務所までお問い合わせください。
目次[非表示]
- 1.労働保険番号とは?調べ方や数字の意味について
- 1.1.労働保険番号とは
- 1.2.雇用保険適用事業所番号との違い
- 1.3.雇用保険番号との違い
- 2.労働保険番号が分からない時の調べ方
- 3.労働保険番号の意味
- 4.労働保険番号を入手する方法
- 4.1.一人親方が労働保険に加入する方法
- 4.2.労働保険に特別加入する要件
- 4.3.特別加入制度で労働保険に加入する場合に準備するもの
- 5.まとめ
労働保険番号とは?調べ方や数字の意味について
一人親方は基本的に、元請業者から下請けとして仕事します。この元請業者と仕事の契約をするときに、要求されることがあるものが労働保険番号です。便宜上、労災保険番号と呼ばれることもありますが、正式な名称ではありません。
ここでは、労働保険番号とはどのような番号なのか、労働保険番号の調べ方や数字の意味について解説いたします。
労働保険番号とは
労働保険番号は、労働保険に加入していることを証明する番号で、都道府県の労働局が会社(適用事業所)に割り振る番号です。個人個人に割り振るものではありません。
ちなみに、労働保険とは労災保険と雇用保険を総称した名称です。そのため、労働保険番号と言った場合は一般的には労災保険と雇用保険の2つの保険を含んだ番号となります。会社によっては本社があって、支店があるというケースがあります。その場合は本支店ごとに労働保険番号があります。建設業の場合は少し特殊で、事務部門と現場部門とで別々に労働保険番号を取得します。また、さらに雇用保険に対しても労働保険番号を取得しますので、合計3つ以上番号を会社は取得することなります。そのため、労働保険番号と言いつつ、労災保険だけあるいは雇用保険だけというケースが存在します。
一人親方が労災保険に特別加入をする場合に一人親方団体に加入の申請をしますが、一人親方団体も労働保険番号を所持しています。一人親方団体における労働保険番号も労災保険だけということになります。そのため同じ一人親方団体に加入していれば、同じ労働保険番号を使用します。
なお、一人親方団体が独自に整理番号や加入者番号という名称で個人ごとに番号を割り振ることがあります。労働保険番号と整理番号又は加入者番号で加入している団体と個人が特定できる仕組みとなっています。
雇用保険適用事業所番号との違い
会社が人を雇用した場合に、労働基準監督署へ保険関係成立届という書類を提出します。提出後に労働基準監督署から割り振られるのが先に説明した労働保険番号です。この後に公共職業安定所に行き適用事業所設置届という書類を提出すると雇用保険適用事業所番号が会社に割り振られます。
雇用保険適用事業所番号は1234-567890-0というような 4桁ー6桁ー1桁の形式で構成しており、会社が雇用保険の手続きをする際に使用します。
雇用保険番号との違い
雇用保険番号は、雇用保険適用事業所に勤務をした場合に個人に割り振られる番号です。個人が初めて雇用保険に加入した際に割り振られ、転職した場合でも番号は変わりません。通常は一生同じ番号を使用します。雇用保険番号も雇用保険適用事業所番号と同様の形式となっています。間違えないように注意しましょう。
雇用保険番号を使用するのは以下のようなケースです。
- 入退社
- 失業保険の手続き
- 育児休業給付や介護休業給付の申請
労働保険番号が分からない時の調べ方
労働保険番号は、労働保険に加入した後に受け取れる労災保険加入証明書や、入会している労災保険加入団体に問い合わせることで調べられます。
一般的に労働保険番号は、都道府県ごとの労働局から承認を受けた特別加入団体に対して振り出されている番号です。そのため、番号を見れば、どの特別加入団体を通じて労働保険に加入しているのかがわかります。
労働保険番号は特別加入団体以外にも、番号にそれぞれ意味があるため、番号を見ることで加入者のことがわかるようになっているのです。
下記は労災センター共済会関東支部の加入証明書ですが、労働保険番号:11101-371272-000が団体の労働保険番号です。労災センター共済会関東支部で一人親方の労災保険に特別加入している方は全員同じ番号となります。
なお、労働保険番号は労働保険適用事業場検索において会社名や団体名を入力すれば検索することができます。
労働保険番号の意味
本来、建設業で働く方は二元適用事業といって、事業特性から労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別しています。それぞれ区別しているため、複数の労働保険番号を所有しているのです。
しかし、一人親方の場合は、労災保険にかかる番号のみ保有することになるため、労働保険番号は1つだけになります。
労働保険番号には、前の項目で解説したように、それぞれの数字に意味が込められているので、番号をチェックする際には番号の見方を覚えておくとよいでしょう。
たとえば、一人親方団体の労災センター共済会関東支部を通じて、労働保険に加入した場合には、関東支部の労働保険番号「11101-371272-000」が振り分けられます。
それぞれの労働保険番号の数字の意味は、下記のとおりです。
府県番号 |
所掌 |
管轄 |
基幹番号 |
枝番号 |
11 |
1 |
01 |
371272 |
000 |
府県番号
府県番号は都道府県を数字で表している番号です。労災センター共済会関東支部がある埼玉県は、府県番号「11」となります。
所掌
所掌は労災保険と雇用保険の区別ができる番号です。「1」と「3」があり、「1」は労災保険、「3」は雇用保険に該当します。
管轄
管轄は都道府県の管轄する労働基準監督署および公共職業安定所を意味する番号です。都道府県ごとに番号が割り振られています。
基幹番号
基幹番号は事業場ごとに付けられている個別の番号です。事務組合に委託をしている事業場の場合、期間番号は9から始まり、末尾の数字で意味を区別しております。
枝番号
枝番号は事務組合に委託している事業場のときに、付与される番号です。基本的には付与されず、「000」となります。
このように、労働保険番号にはそれぞれ数字に意味があります。労働保険に加入して、労働保険番号を割り振られたら、必ず番号をチェックしましょう。
労働保険番号を入手する方法
一人親方が労働保険番号を入手するためには、当然のことながら労災保険の特別加入が必要となります。
ここでは、一人親方が労災保険の特別加入制度を使って、労働保険へ加入する方法を紹介します。
一人親方が労働保険に加入する方法
一人親方は通常の会社とは異なり、労働基準監督署に届け出る方法での加入手続きはできません。労働保険に加入する場合には、各都道府県にある労働局の承認を受けた特別加入団体を通じて加入する必要があります。
つまり、特別加入団体を事業主、一人親方を労働者とみなして、労働保険の適用を行なう形です。
特別加入団体を調べる方法としては、都道府県ごとに設置されている都道府県労働局または、労働基準監督署に問い合わせることで調べられます。
加入手続きは、スマートフォンやパソコンなどを利用したインターネットで手続きが可能です。他にも電話での手続きもできるため、ご自身のお好きな方法で手続きができます。
労働保険は最短で、加入日の翌日から適用されます。また、その際に労働保険番号も使用可能です。すぐに労働保険番号が必要な場合でも、諦めずに最短で加入できる特別加入団体を探しましょう。
労働保険に特別加入する要件
労災保険に特別加入するためには、下記に紹介する条件があります。自身が特別加入の対象となるか、確認が必要です。
- 一人で建設業を営んでいる方(一人親方)
- 家族だけで建設業を営み、現場に出る方全員
- 雇用を行なっていない有限会社、株式会社の取締役で現場に出る人
- 建設業を営みアルバイトを年間100日未満しか使わない経営者
- 粉塵作業等や有機溶剤業務等に一定期間従事した経験を持つ人は加入時健康診断が必要
特別加入制度で労働保険に加入する場合に準備するもの
特別加入制度で労働保険に加入する場合には、準備しておくべきものがあります。
下記に紹介する準備物を確認し、スムーズに労働保険の申請ができるようにしましょう。
- 顔写真付きの身分証明書もしくは、写真がない場合は保険証等の公的書類2点以上
- クレジットカード
身分証明書は申請する際に必須となります。免許証やパスポートなどの身分証明書を準備しておきましょう。
クレジットカードは労働保険の支払い時に使用します。クレジットカード以外にも、振込やコンビニでの支払いを選べるため、利用しやすい支払い方法を選んでください。
また、労災保険に特別加入する場合には、希望する給付基礎日額を選択できます。給付基礎日額によって、労災保険料が異なるため、一人親方としての日当相当額を目安に選択するとよいでしょう。
まとめ
労災保険はいざというときに、労働者を守るための保険制度です。一人親方として働くのであれば、雇用保険は法律上加入する余地はありませんが、労災保険の特別加入は欠かせない制度といえるでしょう。
建設業は、業務中のケガや病気のリスクが高い仕事とされています。もし、労災保険に加入していない一人親方に仕事を依頼して、一人親方が労災にあってしまったときには、労災保険の保険給付を受け取れません。
元請業者はこのような万が一の事態に一人親方を守れるように、また、ケガをした際の補償に関するトラブルが生じないようにしたいと考えています。そのため、元請業者は一人親方と契約する際に、事前に労働保険番号を求めて、労災保険に加入しているかどうか判断しているのです。
つまり、一人親方で労災保険に加入しておらず、労働保険番号がない場合には、ほとんどの元請業者は依頼しません。一人親方として元請業者から仕事を受注するのであれば、労災保険の特別加入は必須だといえるでしょう。
また、元請業者に労働保険の加入を証明するためにも、今回紹介した労働保険に加入した際に割り振られる労働保険番号について理解しておきましょう。
労災保険への加入をご希望の方は下記から加入までの流れや費用をご確認くださいませ。
- 一人親方は、事故やケガに注意する必要がある
- 労災保険に特別加入していると、万が一の際にも安心
- 一人親方団体労災センター共済会は、費用を抑えて迅速に加入できるのでおすすめ