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2021年度(令和3年)の労災保険料の計算方法や納付方法を解説!

 労働者を守るための保険として労災保険という制度が存在します。万が一に備えるという意味合いは多くの方が理解していることでしょう。しかし、労働者と一人親方では保険料の計算方法が異なるため、補償内容の違いなども気になるのではないでしょうか。

 この記事では、2021年度の労災保険の認定範囲や、通常は加入できないとされてきた一人親方の労災保険加入について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.労災保険について理解を深めよう
    1. 1.1.労災保険とは
    2. 1.2.一人親方と労災保険
    3. 1.3.一人親方が労災保険に加入するには
  2. 2.労災保険料はどのように算定されるの?
    1. 2.1.一人親方の労災保険料はどのように算定する?
    2. 2.2.給付基礎日額とは?一人親方はどのように算定すべき?
    3. 2.3.労災保険料算定で注意したいこと
  3. 3.一人親方の労災保険料はどのように支払うの?
    1. 3.1.特別加入団体に加入する際の費用
    2. 3.2.支払い方法は?どのように払い込むのがベター? 
    3. 3.3.いつから労災保険が適用される?
  4. 4.まとめ


労災保険について理解を深めよう

 万が一の事態に備え、理解を深めておきたい補償制度の一つが「労災保険」です。よく耳にはするものの、補償内容や労災認定される状況を理解している方は少ないのではないでしょうか。

 ここでは、労災保険制度の基本的知識や、労働者という立場以外の方(一人親方)においての労災保険制度について解説します。

労災保険とは

 労災保険は、正式名を「労働者災害補償保険」といい、通勤災害と業務災害の2つに分類されています。

 被災状況によっては、想定以上の治療費がかかることや、労働者の死亡により家族の生活費を捻出するのが難しくなってしまう可能性があります。そのような事態を回避すべく、必要な場面で給付を受けられる仕組みが労災保険です。

 通勤労災に関しては事業主への報告とは異なる通勤手段や経路を利用した場合、労災と認められないケースがあるので注意しましょう。たとえ経路から脱したとしても、申告した経路に戻った場合に限り、労災保険が適用されるケースがあります。

 業務災害においては、休憩中や私的な事情による被災は認められません。しかし、施設の管理状況によっては認められる場合があるため、認定される可能性がある場合は早い段階で確認してください。

 2021年5月現在、業務外である場合を除き、新型コロナウイルスに感染した際も労災として認定されます。医療従事者だけではなく、不特定多数との接触を避けられない職業など、業務上起こりうる可能性が高い職業の方は認められる可能性が高いでしょう。

一人親方と労災保険

 本来、労災保険は従業員である労働者に適用される制度のため、中小事業主および一人親方は元請けにおける労災保険の対象ではありません。

 しかし、建設業などの現場では、一人親方が被災する可能性は労働者と同等といえるでしょう。そのため、一人親方でも加入できる「一人親方労災保険特別加入制度(一人親方労災保険)」という制度を設け、特別に加入を認めています。

 労働者としての労災保険も、一人親方としての労災保険も、補償内容に大きな違いはありません。しかし、企業が雇っている労働者の場合、労災保険料は事業主の負担となりますが、一人親方の場合は自己負担だということを留意しておきましょう。

 また、前述したように、一人親方は元請けの労災保険対象外のため、特別加入していない一人親方は建設現場に入れない可能性が高まります。元請け企業が安心して業務委託できるように、一人親方労災保険への特別加入は早めに行なうのがおすすめです。

一人親方が労災保険に加入するには

 一人親方が労災保険特別加入手続きをする場合、労働基準監督署で直接申し込むことはできません。加入する際は、一人親方の団体(組合や共済会など)を通じて申し込みをすることになります。

 団体を通じた申し込みにより、一人親方は労働者であり、団体(組合や共済会)は雇用している事業者とみなす考えに基づいた手続きを可能にしました。

 どの団体に入ったとしても、保険料率は国により定められているため、納付する労災保険料や補償内容が変わることはありません。団体によって金額が異なるとすれば、組合費や手続き手数料の違いによるものです。

労災保険料はどのように算定されるの?

 前述したように、一人親方の労災保険料は自己負担となるため、実際に支払う金額を計算し把握しておく必要があります。

 ここでは、労災保険料の計算方法や、算定において注意すべきことを解説します。

一人親方の労災保険料はどのように算定する?

 特別労災保険料の算定に必要な項目は「給付基礎日額」と「特別加入保険料率」です。次項で詳細を解説しますが、給付基礎日額は一人親方の日当の目安となる金額と考えてください。

 特別加入保険料率とは、それぞれの事業に定められた保険料率です。事業により特別加入保険料率は異なるため、厚生労働省による「特別加入保険料率表(2021年度~)」を参考に計算するとよいでしょう。

参考資料:https://www.mhlw.go.jp/content/000750335.pdf

 保険料の計算式は以下になります。

 給付基礎日額×365日×労災保険料率=年度分の労災保険料

 給付基礎日額や労災保険料率は年度によって変わる可能性が高い数値です。年度ごとに算定する必要があるため、計算する際は上記の計算式を覚えておくとよいでしょう。

 この計算式により算定された金額を加入した団体に支払います。月払いで加入しているのであれば、ここで算定した金額の12分の1の金額を計算し毎月支払ってください。

給付基礎日額とは?一人親方はどのように算定すべき?

 給付基礎日額とは、労災保険料の算定や給付額を決める際の重要な目安となるもので、わかりやすくいえば、一般的な労働者における「平均賃金」です。一般の労災保険に加入している労働者は賃金がある程度決まっているため、平均賃金の算定がスムーズです。

 一方、一人親方の場合は、繁忙期とそうでない時期で収入に変動があるため、平均賃金の算定が困難になります。そのため、加入者自身の平均的な所得にふさわしい額(給付基礎日額)を選定し保険料や給付額を決定します。

 年収を365(日)で割った数値が給付基礎日額と考えればわかりやすいでしょう。

 労災保険で受けられる給付額は、休業した日から4日目以降で以下の計算式になります。

 給付基礎額の8割×国が定めた日数分

 この計算式を用いて出た金額が上限となっています。

労災保険料算定で注意したいこと

 ポイントとして以下の項目には注意が必要になります。

  • 年間の労災保険料は給付基礎日額で算定される
  • 休業補償の給付額は1日当たり給付基礎日額の8割
  • 治療費は給付基礎日額によって決まるので給付額に差はない
  • 給付基礎日額は年度末の3月31日まで変えられない

 一人親方は保険料を自己負担するため、給付基礎日額が高いほど納付する保険料も高くなります。そのため、給付基礎日額を実際よりも低い金額で設定しようと考えてしまう方もいるかもしれません。

 しかし、給付基礎日額を低く設定すれば、当然支払われる補償額は少なくなります。被災の程度によっては、復帰までに時間がかかり、これまでの生活水準を下げざるを得ない状況となるでしょう。それでは、本来の目的である“生活保障”を果たせません。

 労災保険のあるべき姿は「万が一の際の生活保障」であり、毎月支払う労災保険料よりも生活保障を最優先に考えるべきでしょう。

 また、低い給付基礎日額を設定して後悔しても、年度末までは変えられませんので、納得できる補償金額の支給を受けるため、適正な給付基礎日額を設定しましょう。

一人親方の労災保険料はどのように支払うの?

 労災保険料への理解が深まったところで、実際に支払う際の留意点について触れていきます。労災保険料以外にも支払わなければならない費用が発生し、その内訳は特別加入団体によって異なります。

 どのような費用が発生し、どのように支払うのが自分に合っているのかを考えながら読み進めていきましょう。

特別加入団体に加入する際の費用

 特別加入団体に加入する際は、一般的に組合への「入会金」と「組合費」を支払うことになります。これは労災保険料とは別に支払わなければならない料金です。

 入会金は、入会にかかる手続きの事務手数料として徴収しており、入会時の1回のみの支払いで済みます。組合費は、加入団体に対し支払う事務手数料のようなもので、労災保険料とは別に毎月支払わなければなりません。

 入会金や組合費は加入する団体によって異なり、組合費に関しては年単位で徴収する団体もあれば月単位で徴収する団体もあります。年単位で徴収している団体は、組合費ではなく年会費と表記している場合もあるため、混乱しないように注意しましょう。

 また、団体によっては前述以外の事務処理手数料を徴収することもあるようです。労災保険料自体は削減できない費用のため、少しでも費用を抑えたいのであれば加入前にチェックしておくとよいでしょう。

支払い方法は?どのように払い込むのがベター? 

 団体により支払い方法はさまざまで、銀行振込やコンビニエンスストア払い、口座振替、クレジットカードなどから選べます。毎月納付する団体もあれば分割での納付方法もあり、どのように納付するのがベターかは加入する本人次第です。

 また、納付が滞った場合、補償を受けられなくなる可能性があることを覚えておかなくてはなりません。年払いとなれば1回の納付額は大きくなりますが、納付の滞りを防ぎ、安心して補償を受けられることを考えれば年払いがおすすめです。

 銀行振込で納付する場合には、手数料がかかる場合があります。また、クレジットカードによる納付方法に限り組合費が多少増額されるケースもあるため、それらの兼ね合いを考えた選択となるでしょう。

いつから労災保険が適用される?

 通常、組合が労働基準監督署に「一人親方の加入申請書」を届け出た次の日から加入が認められます。この背景には、被災した日に特別加入が可能となれば、被災するまで加入しないという人が少なからずいるであろうという判断からです。

 特別加入団体によっては、平日の15時までに入金が確認できた場合に限り翌日の加入が認められます。土日祝日や各団体の休日に重なると、手続きを行なえません。急ぎの加入を考えている際は注意しましょう。また、手続きが滞りなく行なわれるように、必要書類などの不備にも注意してください。

まとめ

 一人親方が労災保険に加入できるようになったことで、元請け側としても安心して業務委託を行なえるようになったことでしょう。一人親方労災保険の加入者は年々増加傾向にあるため、すでに一人親方の労災保険加入は当たり前という認識になったといえます。

 被災状況によっては、仕事への復帰に時間を要するため、家族への負担を考えると手厚い補償が望ましいところです。この記事をきっかけに、一人親方労災保険への理解を深め、安心して働ける環境を整える準備を進めましょう。