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インボイス制度とは?一人親方にも大きく影響する制度の仕組みを解説!

 

 インボイス制度は、今までの税金の認識が大きく変わる制度になります。個人事業主や法人にとって今後切り離せない制度となり、一人親方にも大きく影響する制度です。 

 場合によっては、一人親方が仕事を受注していくうえで不利になる恐れもあるので、しっかり理解しておきましょう。

 この記事では、インボイス制度の内容とインボイス制度が一人親方にどのような影響をおよぼすのかについて仕組みを併せて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.インボイス制度とは?
    1. 1.1.インボイス制度は免税事業者を洗い出す
    2. 1.2.課税事業者と免税事業者の概要
    3. 1.3.課税事業者
    4. 1.4.免税事業者
    5. 1.5.インボイスで導入される適格請求書とは?
    6. 1.6.適格請求書の要件
  2. 2.適格請求書の導入で一人親方の取引はどう変わるのか?
    1. 2.1.課税事業者との取引
    2. 2.2.免税事業者同士での取引
  3. 3.インボイス制度は経費計算にも影響する
    1. 3.1.インボイス制度はいつからはじまる?
    2. 3.2.免税事業者からの仕入れによる控除措置
    3. 3.3.インボイス制度に対する対策と準備
  4. 4.まとめ

インボイス制度とは?

 インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を受ける際に適格請求書を貰って保存する制度です。適格請求書とは、売り手が買い手に送る各品目の適格な税率や消費税などを記載した書類を言います。

 そして買い手は、仕入税額控除を受けるために適格請求書を保存する必要があります。これを「適格請求書保存方式」と言います。

インボイス制度は免税事業者を洗い出す

 インボイス制度が導入される前、免税事業者は消費税の支払いを免除できました。免税事業者とは、売上1,000万円以下の事業者を言います。

 免税対象の事業者は、事業収入を受け取る際についてくる消費税も利益にすることが可能です。一方、課税事業者にとっては仕入税額控除を受けられなくなり消費税全額を負担しなければいけません。そのため、できるなら免税事業者とは取引したくないというのが本音です。

 そこでインボイス制度が導入されることにより、免税事業者を洗い出すことができます。

 適格請求書を発行する際に、税務署にてインボイス発行事業者登録が必要です。しかし免税事業者はインボイス発行事業者登録が認められていないため、適格請求書の発行ができません。

 適格請求書が発行できるかできないかで、課税者か免税者かを判別できるため、免税者にとっては仕事上不利になります。

 一人親方も個人事業主のため、インボイス制度によって受ける影響は大きくなるでしょう。

課税事業者と免税事業者の概要

 事業者には、課税事業者と免税事業者の2種類があります。インボイス制度でも両者の関わりは深いです。

 基準期間における課税売上高が1,000万円より多いかどうかが分かれ目となります。個人事業主は前々年の1月1日から12月31日の間で、課税売上高が1,000万円以上で課税事業者とされます。法人は前々年の事業年度で、課税売上高が1,000万円を超える場合に課税事業者となります。

 売上高が1,000万円より下の場合は消費税の支払い義務がありません。そのため、税額をそのまま事業収入にできます。

 では、次に課税事業者と免税事業者の具体的な概要を解説します。

課税事業者

 課税事業者は、年間の売上が1,000万円以上の事業者を指します。課税事業者となると、売上のうちから10%を消費税として国に納めなければいけません。

 また、特定期間による納税義務の判定があります。法人は前年度の期首から6ヵ月間、個人は前年の1月から6月までの期間で判定。特定期間の課税売上高が1,000万円を超えて、かつ給与などの支払い額が1,000万円を超えた場合は納税の義務が課されます。

 そして今後導入されるインボイス制度によって、課税事業者同士で取引を行なうと仕入税額の控除が可能になります。

 もし課税売上高が年間1,000万円を超える場合は、所轄の税務署に「消費税課税事業者届出書」を提出しなければいけません。

免税事業者

 免税事業者は、年間の売上が1,000万円以下の事業者を指し、一人親方の多くもこちらに当てはまります。免税事業者は課税対象とならないため、消費税を納税する義務は生じません。取引先から払ってもらった消費税は、そのまま事業収入として得ることができます。

 これまでの制度では、課税事業者が支払う消費税も収入にできたため、課税事業者としては不満に思ったことでしょう。しかし、インボイス制度によって売上高が1,000万円以下でも課税事業者とならざるを得ません。

 もしインボイス制度が施行されても免税事業者のままの場合、仕事がまったく入らなくなる恐れがあります。

 売上高が1,000万円以下の事業者にとっては、消費税の支払いが重くのしかかることでしょう。

インボイスで導入される適格請求書とは?

 インボイス制度が導入されると、課税事業者のみ「適格請求書(インボイス)」が発行できるようになります。適格請求書は売り手が買い手に対して、正確な適用税率や消費税などが記載された書類を言います。

 適格請求書を発行してもらうには、税務署長に「適格請求書発行事業者登録申請書」を提出して登録を請けなければなりません。

 適格請求書には、適格請求書発行事業者の登録番号が記載されています。この番号は適格請求書発行事業者として登録されている証となります。インボイス制度導入後の納品書や請求書などに登録番号が記載されるようになるので、覚えておきましょう。

適格請求書の要件

 従来納品書や請求書などに記載していた内容にプラスして、新たな項目を追加する必要があります。

<適格請求書に必要な記載項目>

  • 発行者の氏名・名称と適格請求書発行事業者の登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 消費税額
  • 書類を受け取る事業者名

 インボイス制度は、軽減税率に対応するための制度でもあるため、消費税8%と10%の品目を正確に振り分ける必要があります。

 適格請求書には適用税率に合わせた税額を記載し、漏れがないようにしなければいけません。

 軽減税率も考慮した納品書などの作成は業務負担がかかります。しかし正確な税率を記載するうえでは重要なので、手を抜かず記載しましょう。

適格請求書の導入で一人親方の取引はどう変わるのか?

 一人親方も個人事業主となるため、インボイス制度に対応していく必要があります。建設業者の元請との取引や仕入れ業者との取引など、適格請求書を用いる場面が増えるでしょう。

 では、インボイス制度が導入された際の課税事業者と免税事業者との取引について解説します。

課税事業者との取引

 課税事業者と取引を行なう際、一人親方側が課税事業者か免税事業者かによって取引内容が変わります。

 一人親方が課税事業者の場合、適格請求書を発行することが可能です。適格請求書を発行できる事業者を適格請求書発行業者と言います。

 課税事業者である親方Aが元請会社から事業収入を得て、課税事業者の親方Bに依頼したとしましょう。親方Aが親方Bへ依頼料40万円(消費税率10%で税込44万円)を支払い依頼。そしてインボイスを親方Bから受け取ります。このとき、元請から得た事業収入にかかる消費税から、親方Bへ払った消費税分4万円が控除可能となります。

 インボイス制度は、課税事業者が同じ課税事業者と取引することによって互いに控除を受けられる仕組みです。

 一方で一人親方が免税事業者の場合、課税事業者と取引をすると相手方に損をさせてしまいます。

 課税事業者の親方Aが事業収入を得て、免税事業者の親方Bに仕事を発注したとしましょう。親方Aは発注料を親方Bに消費税込みで支払います。親方Bは免税事業者のため適格請求書を持っていません。その場合、親方Aは適格請求書が貰えず仕入税額控除を受けられなくなります。よって事業収入にかかる消費税を全額納付しなければなりません。

 このように、免税事業者と取引することによって課税事業者は損をしてしまう仕組みです。今後課税事業者は免税事業者を避けるようになるので、一人親方も同様に課税事業者になっておいたほうがよいでしょう。

免税事業者同士での取引

 さて、今度は免税事業者同士で取引するとどうなるのか見ていきましょう。

 例えば、免税事業者Aが仕事仲間の免税事業者Bから格安で工具を購入したとします。従来であれば、購入した際の領収書は簡易的でOKです。

 しかしインボイス制度が導入されると、適格請求書発行事業者の登録番号が載っていない領収書は経費として認められなくなります。そうなると、簡易的な領収書では経費として認められません。   

 経費処理できる額が減ると、その分事業収入から引かれる税額が増えてしまい、事業の経営がきつくなります。

インボイス制度は経費計算にも影響する

  インボイス制度は、課税事業者が仕入れをした際に仕入税額を控除できる制度です。しかし、登録番号が記載されていない領収書では仕入控除ができなくなります。

 さらにインボイス制度の導入後は、適格請求書発行事業者の登録番号がない領収書は経費として認められなくなります。たとえ、工具や資材を経費で購入したとしても、領収書に登録番号が記載されてなければ経費になりません。

 現在レシートや領収書がなくても消費税の仕入税額控除は可能ですが、インボイス制度が導入されれば3万円未満であっても適格請求書が必要になります。

 インボイス制度の導入前は、消費税額の端数計算は買った商品ごとで行なっていました。しかし、導入後は適格請求書1枚につき税率ごとに1回という計算方法に変更となります。またインボイス制度導入前は「割戻し計算」のみが採用されていました。しかし、インボイス制度導入後は売上で都度発生した消費税を足すことで計算する「積み上げ計算」を用いることも可能となります。

 経費計算もインボイス制度が導入されるとガラッと変わるので、今のうちに意識しておきましょう。

インボイス制度はいつからはじまる?

 インボイス制度は2023年(令和5年)10月1日より施行されます。

 インボイス制度が施行されると、保存方式が変わることから中小企業に与える影響が見込まれます。そこで、2019年10月1日から2023年9月30日分については経過措置として、現在の方式で請求書を保存することが求められています。また軽減税率の適用対象とそれ以外を区別した帳簿、請求書の保存も必要です。

免税事業者からの仕入れによる控除措置

 免税事業者は適格請求書を交付できないため、仕入税額控除の対象にはなりません。しかし一定の期間で、仕入税額に相当する控除を受けられる措置が設けられます。


  • 仕入税額の80%相当

   2023年(令和5年)10月1日~2026年(令和8年)9月30日

  • 仕入税額の50%相当

   2026年(令和8年)10月1日~2029年(令和11年)9月30日

 上記の期間でそれぞれ控除措置がなされます。しかし免税事業者との取引は課税事業者にとって良い印象はありません。そのため、今後のことを考えると課税事業者になることが賢明と言えるでしょう。

インボイス制度に対する対策と準備

 インボイス制度は、課税事業者が不利にならないようにするための制度です。免税事業者との取引で余分な出費を抑えるために敷かれる制度とも言うことができます。

 個人対個人での取引であれば影響が少ない場合もあるため、問題なさそうであれば現行のままでもよいでしょう。しかし、課税事業者との取引となれば話は別。もし課税事業者との取引がメインとなるのであれば、適格請求書発行事業者の登録申請をして課税事業者になることも検討するべきです。

 また、適格請求書を発行できるようになれば取引がスムーズになりますが、消費税は累進制ではないため収入への影響は大きくなります。事業収入から税金が引かれて事業資金が少なくなる恐れもあるので、今のうちにコスト削減も意識しておいたほうがよいでしょう。

 インボイス制度施行にともなって、2021年(令和3年)10月1日より適格請求書発行事業者の登録申請書が提出可能です。

まとめ

 今後事業者にとって大きく影響をおよぼすことが予想されるインボイス制度。課税事業者と免税事業者でかなり違いが見えてきたかと思います。

 今は課税事業者となるべきか否かを検討していく時期です。今後税制によって事業が転ばないようにインボイス制度について考えていきましょう。

 一人親方は個人でやられている方が多いので、元請や課税事業者である建設会社との取引で軋轢が生まれないようにしていくのも重要になります。

 今後の税制について一人ひとり意識を強く持っていきましょう。