一人親方になるメリットとは?仕事をするうえで重要な3つのポイント
建設業などでは会社に雇用されず、労働者を雇わず、自分自身や家族とだけ事業を行なう一人親方が多く活躍しています。なぜなら一人親方として働くことでさまざまなメリットが得られるからです。
本記事では、この一人親方の具体的なメリットを具体的に解説し、そのメリットを活かすためにも押さえておくべき重要な3つのポイントいついて解説していきます。
一人親方やこれから一人親方になろうとしている人はぜひ参考にして頂けると幸いです。
目次[非表示]
- 1.一人親方とは
- 1.1.一人親方と個人事業主の違い
- 1.1.1.従業員の雇用に関する制約
- 1.1.2.業種の限定
- 1.1.3.一人親方労災保険の加入資格
- 2.一人親方になるメリットとは?
- 2.1.仕事の調整が可能
- 2.1.1.キャパオーバーにならないよう仕事量を調整する
- 2.1.2.ほかの仕事とのスケジュールの調整ができる
- 2.2.単価の交渉ができる
- 2.3.状況によって請負か常用か選べる
- 2.4.従業員を雇わないので固定費を削減できる
- 2.5.社員教育に時間や労力を奪われない
- 2.5.1.従業員を雇うと本来の業務に注力できない
- 2.5.2.従業員数に比例してトラブルも増える
- 3.一人親方として仕事をしていく“3つのポイント”
- 4.一人親方労災保険とは
- 4.1.そもそも労災保険とは?
- 4.2.一人親方労災保険とは?
- 4.3.労災保険の補償内容
- 4.3.1.医療機関等での治療費など
- 4.3.2.休業補償
- 4.3.3.後遺症
- 4.3.4.遺族補償
- 5.まとめ
一人親方とは
一人親方とは、他人を使用せずに個人あるいは家族だけで仕事をする方のことを言います。通常は建設業を指しますが、労災保険の特別加入制度における一人親方と言った場合は建設業のみならず林業や個人タクシーなど一人親方の意味合いは広いものとなります。
一人親方と個人事業主の違い
一人親方とは法人化せずに個人で仕事をする方を指しますので、個人事業主でもあります。しかし、一人親方と個人事業主はイコールではありません。一人親方と個人事業主の主な違いは以下の3つです。
- 従業員の雇用に関する制約
- 業種の限定
- 一人親方労災保険の加入資格
次からはこの3つの違いについて順に開設いたします。
ちなみに、個人事業主という呼称は厳密にいうと税法上の言葉として継続して事業を営む方を言います。個人事業主に似た言葉としてフリーランスがあります。フリーランスとは会社に属さずに仕事ごとに契約を結び収入を得るという働き方を言います。個人事業主とフリーランスという言葉に大きな違いはありません。税法上の言葉としての「個人事業主」、働き方としての「フリーランス」と理解すればいいでしょう。
従業員の雇用に関する制約
一人親方とは冒頭説明したとおり他人を雇用せずに、あるいは家族だけで仕事を行う方を言います。他人を雇用した段階で一人親方とは言えなくなります。しかし、個人事業主であっても人を雇用することはあります。人を雇用したからと言って個人事業主でなくなるということはありません。
一人親方が常時他人を雇用した場合、それはもはや「一人親方」ではなく「親方」に近い存在と言えましょう。常時他人を雇用ではなく、繁忙期に臨時に他人を雇用するというケースもあります。この場合は、雇用の程度にもよりますが「一人親方」と考えていいでしょう。
なお、常時雇用と臨時雇用の境目は以下で解説する一人親方労災保険の加入資格の観点から言うと100日以上雇用するかどうかで判断すると良いでしょう。
業種の限定
一人親方と言った場合、通常は建設業の一人親方を指します。建設業以外の一人親方を指すことはほぼないと言えます。ただし、労災保険特別加入における一人親方といった場合はその範囲が少し広くなります。具体的には以下のような事業を行う方を言います。
- 建設業
- 林業
- 貨物運送業
- 漁業従事者
- 医薬品の配置業
- 産業廃棄物処理業
- 船員
- 柔道整復師
- 高年齢者雇用安定法に基づいて高年齢者が行う事業
- あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師
- 歯科技工士
しかし、個人事業主には業種の限定というものがそもそも存在しません。法人化せずに一人で事業を行う方であれば誰でも個人事業主に該当します。
一人親方労災保険の加入資格
最後に一人親方労災保険の加入資格の観点から一人親方と個人事業主の違いを説明します。この違いは上記2つの雇用に関する制約と業種の限定の2つから生じするものです。
- 他人を100日以上雇用している個人事業主
- 他人を雇用していない方、雇用していても100日未満の個人事業主
上記1に該当する個人事業主は一人親方労災保険に加入できません。中小事業主労災保険なら加入できます。上記2に該当する方は一人親方労災保険に加入できる可能性があります。
上記2に該当する中で業種が「業種の限定」において列挙したいずれかの
- 事業に従事している方
- 事業に従事していない方
1に該当する方は一人親方労災保険に加入できます。では、2のケースはいかがでしょうか?例えば、フリーランスのWEBデザイナーの方。この方は残念ながら今の制度では労災保険に加入する術はありません。働き方の多様性に伴い、いずれは一人親方労災保険に加入できる職種に追加されるかもしれません。
一人親方になるメリットとは?
一人親方とは、建設業などで労働者(被雇用者)を使わず、自分自身や家族とだけ事業を行なう事業主を指します。労働者を雇っている場合でも一定条件下にて一人親方としてみなす制度もありますが、一般的にはこのような個人事業主のことを一人親方といいます。
一人親方になると、雇用されている場合とは違い、仕事量の調整や単価の交渉ができるなど以下のようなメリットがあります。
- 仕事の調整が可能になる
- 単価の交渉ができるメリット
- 請負か常用かを選べるメリット
- 従業員を雇わないので人件費がかからない
- 同じ職場の人間関係で悩むことがない
このようにさまざまなメリットがあります。メリットを把握することで一人親方として働くうえで、働きやすくなることでしょう。ここからは、これらそれぞれのメリットを順に詳しく見ていきましょう。
仕事の調整が可能
一人親方になると、自分の裁量で仕事量の調整ができます。しっかりスケジュール管理をしなければ周囲に迷惑をかけてしまう可能性はあるものの、キャパオーバーとならないように調整したり、ほかの仕事との兼ね合いを調整したりして多くの仕事を獲得することも可能です。
このように自由がきくことで、雇用されている場合と違って収入を増やしやすいという特徴も持ちます。
キャパオーバーにならないよう仕事量を調整する
会社に雇用されている立場では、与えられた仕事量が多すぎても断れる状況にはありません。しかし一人親方の場合は雇用されているわけではないため、繁忙期でも自分の裁量で仕事量を調整できます。
逆に目一杯請け負うこともできますが、仕事の依頼が多すぎて納期に間に合わないと、元請け企業に迷惑をかけたり、信頼を損ねたりと結果的に受注先が減っていくことにもつながりかねません。そこで、自分自身で仕事量を適切に調整する力は必要になります。
ほかの仕事とのスケジュールの調整ができる
会社に雇用されている場合、1日に行ける現場は大抵1ヶ所のため、収入にも限度があります。一方、一人親方の場合は一つの会社にほぼ専属のような形で仕事をすることもできますが、他の現場とのスケジュールを調整して1日に数ヶ所を回ることも可能です。
より多くの仕事を獲得して積極的に収入を増やす、逆に仕事量を少なめにしてプライベートを充実させるなど、自由に働き方を選べる点はメリットといえるでしょう。
単価の交渉ができる
会社に雇われている立場では、ある程度給料の相場が決まっています。
資格や免許を取得したり、高度な技術を身に着けたりすれば通常の給料に能力給がプラスされることもありますが、基本的に役職が上がるまで年収は頭打ちとなる傾向にあります。
しかし一人親方の場合は、雇われている立場とは違い、請け負う仕事の単価を交渉できます。また相場自体も日当18,000円~23,000円と、一人親方の方が1日あたり最大7000円程度高いとされています。
実際の手取りは社会保険料などを差し引いた額になりますが、それでも雇われている立場より平均日当は高くなるケースが多いです。
状況によって請負か常用か選べる
建設業の仕事では、さまざまな業種が現場に入ります。自社の社員を投入する業種もあれば、社外の協力業者に依頼をする業種もあり、企業によってそのパターンはさまざまです。そして社外の業者に依頼をする場合にもさらに「請負」と「常用」という二つの契約形態に分かれます。
雇われている立場だと、自身で請負か常用かの選択はできませんが、一人親方になれば取引の相手方との交渉を通じて、どちらの契約形態にするのか、選択できるようになるので、その観点からも仕事の幅が広がるといえます。
以下で請負と常用の違いを整理しておきましょう。
請負
請負の契約形態では、材料の計測・調達から施工、ごみの処分に至るまでをまとめて職人が引き受ける形で見積もりを出し、完成後に元請け業者からまとめて支払いを受けます。材料費・人件費・利益などすべてが含まれるため、常用より高い金額での受注が可能です。ただし、不具合があった際の責任は請負側が取る必要がある点に注意しましょう。
一人親方側から見ると請負の方が利益は大きくなり、実際、ほとんどの業種では常用より請負が多いとされています。
常用
常用の契約形態では、材料の計測・調達やごみの処分といった面は元請け業者が引き受け、一人親方側は施工の部分のみを引き受けます。常用では人件費のみを受け取ることになるため、請負より金額は下がります。ただし、不具合があった場合でも職人が直接責任を負うリスクが小さくなる点はメリットといえます。
このように、一人親方から見ると、常用は請負より利益が下がる傾向にあります。ただし、知り合ったばかりで信頼関係のない元請け業者と取引する場合は、完成後にまとめてお金を受け取る請負より、日当で支払いを受ける常用の方が、未払いなどのトラブルを防ぎやすい面もありますので、利益以外のこともよく考えて交渉することが大事です。
常用として働く一人親方の場合、労働力の提供を主たる目的としているので、必ずしも仕事の出来不出来を問われません。そのため、労働者としての側面が大きい働き方といえるでしょう。
また、労災保険の特別加入は請負で働く一人親方を対象としているため、常用を主とした一人親方が特別加入をする場合には注意が必要になります。なお、常用の場合一人の労働者が1日仕事した労働力を「一人工」といったりします。
従業員を雇わないので固定費を削減できる
一人親方の場合、基本的に従業員を雇わないため、人件費をはじめとするさまざまな固定費を削減できます。
オフィス代
会社を立ち上げ、従業員を多く雇う場合、広いオフィスが必要になります。しかし、一人親方であればオフィスがなくて済む場合もありますし、オフィスを構えるとしても小規模で済むため家賃を削減できます。
通信費
従業員を多く雇えば、複数の現場に従業員を送るケースもあります。そうすると、現場を移動する従業員との連絡手段として会社名義の携帯電話を持たせることもあり、通信費もかかってきます。年間で見れば大きな出費です。一人親方であれば自身の携帯電話のみでも済むため固定費の削減につながります。
人件費
従業員を雇った場合、毎月給料を支払うことになり、人件費がかかります。経費のなかでも人件費は支出の程度が大きく、多く雇えばオフィス代や通信費よりはるかに大きな固定費が発生してしまいます。もちろん、従業員がいることによるメリットもありますが、これを削減できるかどうかで収益にも大きな差が生じます。
社員教育に時間や労力を奪われない
一人親方の場合、社員教育の手間がかからないのもメリットです。従業員を雇っていると、業務にムラができないよう社員を教育し、全体のパフォーマンスを上げる必要がでてきます。しかし実際に社員教育を行なうとなると、次のようにさまざまな悪影響をおよぼすこともあります。
従業員を雇うと本来の業務に注力できない
従業員を雇って社員教育をする場合、誰かに教育係を担当させることになります。教育係が指導に注力する分、本来の業務に集中できなくなります。また通常の業務を他の従業員に割り振ることになり、他の従業員の負担も増えてしまいます。負担の増えた従業員には疲労や不満がたまり、普段通りのパフォーマンスを発揮できくなることもあります。
このような状態が続けば、従業員が定着しない、重要な人物が辞めてしまう、といった悪循環にもつながりかねません。
従業員数に比例してトラブルも増える
従業員が増えれば、それに比例して人間関係のトラブルも増えます。また、目の届かない従業員も増えることでミスが増えるおそれもあります。
多くの従業員を抱えていれば、上記のような、自身でコントロールできない問題に対処していく必要がでてきます。
一人親方ならこうしたトラブルに対する労力が不要になり、自己管理のみで済みます。いつも自身の業務に集中できるようになるでしょう。
一人親方として仕事をしていく“3つのポイント”
一人親方の場合、自身で行なわなければならない手続きがいくつもあります。会社員とは違い、不測の事態が起きても組織からのサポートは受けられません。そのためあらゆる場面を想定して事業を進めることが大事です。ここでは一人親方として仕事をしていくうえで重要となる3つのポイントを確認していきましょう。
確定申告をする
1年に1度確定申告を行ない、1年間の所得を申告する必要があります。通常、2月16日~3月15日の間に前年1月1日~12月31日までの所得を税務署へ申告します。会社員の場合は自身で手続きをする必要はありませんが、一人親方になると自分で申告書を作成し、確定申告を行なわなければなりません。
なお、確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。青色申告では事前に税務署へ開業届を提出する、帳簿は複式簿記で記帳するといった手間はかかるものの、控除額が上がりますので、ある程度の年収があり節税対策をしたい一人親方にはメリットが大きいでしょう。
また確定申告にかかる処理をきちんとしていれば、建設業の許可を受ける際や収入証明書が必要なときにも困らずに済みます。
各種保険の加入
一人親方は会社員と違い、自身が雇用保険に加入することができません。しかし一人親方でも安心して仕事ができる各種制度があります。
社会保険と共済加入
一人親方が加入できる国民健康保険には、建設業の国保組合と、市区町村の国民健康保険があります。このうちどちらか一方を選ぶことになりますが、建設業の国保組合はケガや病気の際の傷病手当金など独自の福利厚生を付加しているところもあり、市区町村の国民健康保険よりサポートが手厚い場合もあります。そのため、まずは建設業の国保組合に加入できるかを確認し、加入できなかった場合に市区町村の国民健康保険に加入するとよいでしょう。
年金については、一人親方の場合、国民年金へ加入することになります。国民年金は会社員が加入する厚生年金に比べて老後に受け取る年金は少なくなる傾向にありますが、国民年金に上乗せして付加年金(月額400円)もしくは国民年金基金(上限は月額68,000円)に加入しておくと、将来受け取る年金額を増やすことが可能です。
また一人親方には退職金がありませんが、「小規模企業共済」に加入しておくことで自身の退職金を積み立てられます。
国民年金基金や小規模企業共済のかけ金は全額所得控除の対象となるため、将来的な資産を確保しながら節税にもつながります。余裕があれば活用するとよいでしょう。
労災保険の特別加入
会社に雇用されていない場合、通常であれば労災保険に加入できませんが、一人親方には労災保険への特別加入制度という特例があります。万一、業務中や通勤途中に事故にあった際にも特別加入していれば労災保険の適用が受けられるため、加入しておくとよいでしょう。詳しくは次の章で説明します。
民間保険の加入
社会保険や共済、労災保険でカバーできない範囲は民間保険への加入で補っておくと万一の際も安心です。一人親方の場合、「収入保障保険」と「賠償責任保険」の二つがおすすめです。
収入保障保険とは、契約者が亡くなったとき、遺族が一定期間、毎月一定額を受け取れる保険です。もし自分の身に何かがあったときにも残された家族が補償を受けられるという安心感につながります。
また賠償責任保険とは、業務上の偶発的な事故により第三者に対する賠償責任を負ったとき、賠償金の支払いといった費用を補償する保険です。
社会保険や労災保険なども考慮しつつ民間保険への加入も検討し、必要に応じて社労士に相談するとよいでしょう。
入金日程の把握・管理
一人親方は契約形態が請負となるケースが多いため、入金は基本的に請け負った仕事がすべて終わってからになります。そのため今現在関わっている仕事でも、入金が2~3ヵ月先になることも多いです。
また、工期が延長になり終了期間が延びれば、その分入金日程も遅れることになります。そこで、このような状況になっても事業が継続できるような体制を作っていくことが重要です。
一人親方労災保険とは
最後に労災保険法の成り立ちと一人親方労災保険について説明致します。ちょっとした知識として知っておくといいでしょう。
そもそも労災保険とは?
本来、労災保険とは会社などの組織に雇用されている方を対象とした国の保険です。会社に比べて立場が弱いとされている労働者を保護するため様々な法律がありますが。その代表的なものとして労働基準法があります。労働基準法には賃金や労働時間を初めとして多くことが定められておりますが、その一つとして災害補償があります。
労働基準法の災害補償には療養補償、休業補償、障害補償、遺族補償などが会社の責任として規定されております。しかし、会社によっては資力がなかったり知識不足などの点から、労働者が万が一の労災事故に遭っても十分な補償を受けることができない場合があります。
そこで、労災事故の際に労働者が不利益を被らずに十分な補償を確実に受けることができるようにするために労働基準法の災害補償の項目を保険化しました。それが労災保険法です。
一人親方労災保険とは?
先述したように労災保険は雇用されている労働者のための保険です。本来、請負契約で働く一人親方は労災保険の対象外となりますが、請負契約で働く大工の職人と会社に雇用されて働く大工の職人とで外形的に異なるところは殆どありません。また、個人タクシーの運転手と会社に雇用されて働くタクシーの運転手も見た目何も変わりありません。
一人親方労災保険というのは雇用契約でない方々にも労災保険という国の保険を提供するための特別な仕組みとして考えられました。そのため、強制ではなく任意の保険であり、遡って加入することはできません。最短でも翌日加入となります。極端な例ですが、本日労災事故に遭って急いで一人親方労災保険に加入しても加入日は翌日となり、本日の労災事故には労災保険の補償はありません。
労災保険の補償内容
労災保険の補償内容は労働基準法の災害補償と大部分が重なります。ちなみに、労働基準法には通勤時の労災事故の規定はありません。通勤災害は労災保険法独自のものです。ここでは労災保険における補償項目を紹介いたします。代表的な補償は以下の4つです。
- 治療費
- 休業補償
- 後遺症
- 遺族補償
医療機関等での治療費など
仕事が原因でのケガや疾病、あるいは通勤途上でのケガの場合、医療機関での受診や薬局での薬の処方がありますが、労災保険ではこれら以外にも例えばコルセットなどの治療用装具の制作や医療機関までの交通費なども補償の対象となります。
ただ、補償となるもの・ならないものが細かく決められているため、利用する場合は労働喜寿監督署などの行政か専門家に事前に相談してみると良いでしょう。
なお、補償期間ですがケガや疾病が「治る」までです。ここで言う「治る」とはこれ以上治療しても治療の効果が期待できない状態を言います。
休業補償
休業補償は労災事故が原因で働けない状態が続く場合の補償です。「働けない」というのがポイントです。自己判断で働けないとしても補償対象となりません。医師に労務不能という証明をしてもらう必要があります。
次に補償される金額ですが、これは一人親方労災保険の場合は事前に届け出る給付基礎日額の8割です。給付基礎日額とは一人親方労災保険の特別加入時に届け出るもので、給付基礎日額が高ければ万が一の労災事故の際の補償は高くなりますが、その分労災保険料も高くなります。
補償期間で治療費の項目の際に説明しましたが、「治る」までです。
後遺症
「治った」後に身体に後遺症があった場合、その障害等級に応じて補償されます。1級から7級が年金、8級から14級が一時金です。
補償される金額は障害等級と給付基礎日額の応じて補償額は異なります。
ちなみに、7級は年金で8級は一時金となるためここに大きな差があります。年金は障害があるか限り一生受給できますが、一時金は文字通り一回だけです。
遺族補償
不幸にも労災事故が元で亡くなった場合に一定の遺族に対して補償があります。
遺族の人数と給付基礎日額に応じて補償額は異なります。また、遺族の中にも順位というものがあり、配偶者が最優先です。具体的には配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順です。通常は配偶者が受給することが多く、例えば遺族として配偶者と子供が2人という場合は、遺族の人数は3人となり、配偶者が遺族補償を受給することになります。
ちなみに遺族補償の場合、遺族に生計維持関係があるかどうかで年金となったり、一時金となったりすることがあります。
労災補償について簡単ではありますが、説明致しました。大事なことは労災補償について詳細を知ることではありません。万が一の労災事故の際に不利益なことにならないように 労災補償にはどんな補償があるのかを知っておくことです。
まとめ
会社に雇われず従業員を雇わない一人親方には、仕事の調整が容易になること、単価の交渉ができること等のメリットがあります。
また、そのことにから収入アップも望め、職場内の人間関係で悩まずに済むのも利点といえます。
ただし一人親方として仕事をしていくうえでは、以下の3点に注意しましょう。
- 毎年、確定申告をする
- 各種保険(社会保険・共済・労災保険・民間保険)に加入する
- 入金日程の把握・管理を徹底する
確定申告は少々手間がかかりますが、自信がなければ1年目は税理士に依頼し、2年目以降は1年目の書類を参考に自身で作成するといった方法もあります。各種保険については、特に社会保険、労災保険、賠償責任保険を押さえておくとよいでしょう。また、長く事業を継続していくためには、入金日程が遅れても問題のない体制を作っていくことが重要です。
労災保険への加入をご希望の方は下記から加入までの流れや費用をご確認くださいませ。