一人親方ブログ

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仕事中の熱中症は労災として認められるか?条件や申請方法、熱中症対策を紹介

 高温多湿な環境に体が慣れていないと、熱中症を発症するおそれがあります。熱中症は屋外だけでなく、オフィスや自宅などの屋内でも起こりうるほか、梅雨の晴れ間や残暑期間にも注意が必要です。
 とはいえ日々の仕事もあり、「仕事中に熱中症で倒れたらどうなるのか」「労災として認められるのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
 この記事では、熱中症に関する基礎知識や仕事中に発症した場合の労災認定の条件、申請方法を詳しく解説します。また、熱中症の予防方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.熱中症とは?症状を詳しく解説
  2. 2.熱中症は職場でも起こる?
    1. 2.1.熱中症が起こりやすい状況
    2. 2.2.熱中症は職場でも起こる
  3. 3.仕事中の熱中症は労災として認められるか
    1. 3.1.労災とは?
    2. 3.2.熱中症が労災として認められる要件
  4. 4.労災の申請手続きと補償内容
    1. 4.1.労災の申請手続きの流れ
    2. 4.2.労災保険で補償される内容
  5. 5.熱中症を予防するには?3つの対策法を解説
    1. 5.1.作業環境を整える
    2. 5.2.作業時間や作業体制を管理する
    3. 5.3.健康管理をしっかり行なう
  6. 6.一人親方も労災に加入できるのか
  7. 7.まとめ

熱中症とは?症状を詳しく解説

一人親方の熱中症

 熱中症とは、気温や湿度が高い環境で体温調節機能がうまく働かなくなり、熱が体内にこもってしまう状態のことです。屋外だけでなく室内でも発症することがあり、重症になると救急搬送されたり、最悪の場合死亡したりするケースもあります。
 熱中症のおもな症状には、めまいや立ちくらみ、あくび、大量の発汗、筋肉痛や筋肉のこむら返りなどが挙げられ、症状が進むと、頭痛や嘔吐、倦怠感が現れ、判断力や集中力の低下、虚脱感なども生じます。
 自力で水を飲めない、声をかけても反応しないなど重症が疑われる場合は、すぐに医療機関の受診が必要です。 

熱中症は職場でも起こる?

一人親方の熱中症になりやすい職業

 次に、熱中症が起こりやすい状況や、特にリスクの高い職業を解説します。

熱中症が起こりやすい状況

 環境省では、熱中症を引き起こす3つの条件として、「環境」「からだ」「行動」を挙げています。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 環境

 熱中症が起こりやすい環境とは、気温や湿度が高く、風通しが悪い場所や強い日差しが照りつける場所、または閉め切った室内などです。猛暑日の炎天下はもちろん、冷房を使用していない室内などでも起こる可能性があります。

  • からだ

 熱中症は、体温調整機能がうまく機能していない高齢者や乳幼児に特に起こりやすいとされています。また、健康状態や体調なども関係し、特に肥満の方や障害、持病のある方、栄養状態の悪い方、体調不良の方や寝不足などもリスクが高まります。

  • 行動

 熱中症になりやすい行動には、激しい運動や慣れない労働などが挙げられます。特に、長時間の屋外作業やスポーツなどで、こまめに水分を補給できない状況では、熱中症にかかりやすくなります。

熱中症は職場でも起こる

 上記から、熱中症は職場でも発症する可能性があります。2023年の厚生労働省の調査では、職場での熱中症による死亡者および休業4日以上の業務上疾病者の数(死傷者数)は1,106人に上り、うち31人が亡くなっています。また、熱中症にかかりやすい職種は建設業・製造業が多く、次いで運送業・警備業・商業などです。

仕事中の熱中症は労災として認められるか

一人親方

 熱中症は、高温多湿な環境に長時間いることで起こりうるため、仕事中にも発症するリスクがあります。それでは、仕事中に熱中症が発症した場合、労災として認められるのかどうか、以下で詳しく解説します。

労災とは?

 労災とは「労働災害」の略で、仕事中や通勤中に起きた病気や事故などによるケガのことです。労働基準監督署長により労災に該当する病気やケガと認定されると、労災保険からさまざまな補償を受けられます。
 熱中症が労災に該当するかどうかは、労働基準法の施行規則(別表第1の2)で定められており、「二 物理的因子による次に掲げる疾病」に、「8 暑熱な場所における業務による熱中症」と記載されています。

熱中症が労災として認められる要件

 公益財団法人 労災保険情報センターによると、熱中症が労災として認められるかどうかは、作業環境の温度や作業時間、作業内容、本人の身体状況などに基づいて判断されます。
 認定にあたっては、おもに「一般的認定要件」と「医学的診断要件」があり、作業内容と熱中症との因果関係が認められ、なおかつ、病院で医師の診断を受けることが求められます。
 ただし、業務中であっても仕事とは関係ない私的行為をしていた場合や、もともとの持病が悪化した場合などは、労災として認められないケースもあるでしょう。
 
 参考:公益財団法人 労災保険情報センター「0146_炎天下での日射病」

労災の申請手続きと補償内容

労災保険

 ここでは、実際に仕事中に熱中症になった場合の、労災の申請手続きと補償内容について解説します。

労災の申請手続きの流れ

 熱中症による労災の申請手続きは、以下の手順で行ないます。

  • 勤務先に報告する

 労災の認定を受けるには事業主の証明が必要です。そのため、まず勤務先に詳細を報告します。

  • 病院を受診する

 適切な補償を受けるには「医学的診断要件」が必要となるため、すみやかに病院を受診し、医師の診断を受けることが重要です。その際、労災保険指定医療機関を受診すれば、自己負担なく診察を受けられます。
 一方、指定医療機関以外で治療を受けると、いったん窓口で治療費を支払う必要が生じます。ケースによっては治療費が高額になる場合があるため、できるだけ労災保険指定医療機関を利用するのがよいでしょう。

  • 労働基準監督署に申請を行なう

 労災の給付請求書を作成し、所轄の労働基準監督署に申請します。この際、申請書には事業主の証明が必要です。
 会社によっては申請手続きを代行してくれるところもありますが、会社が協力してくれない場合もあります。このような「労災隠し」は、法律で禁止されている行為です。
 労災の認定は労働基準監督署が行なうため、会社の協力を得られない場合は、被災者自身が直接、労働基準監督署に申請できます。
 以上の申請を行なうと、労働基準監督署による調査のうえ、支給の可否が決定されます。

労災保険で補償される内容

 仕事中に熱中症を発症して労災として認められると、おもに以下の補償を受けられます。 

  • 療養(補償)給付

 病院で治療を受けた場合に、治癒するまでに必要な治療費や薬代などが支給されます。

  • 休業(補償)給付

 療養のために休業が必要となった場合に、休業4日目から1日につき給付基礎日額(過去3ヵ月間に支払われた賃金の平均)の60%相当が支給されます。また、休業特別支給金として、さらに20%相当が上乗せされます。

  • 障害(補償)給付

 熱中症により後遺障害が残った場合に、障害の程度に応じた金額が支給されます。

  • 遺族(補償)給付

 被災者が死亡した場合、遺族の人数や身分関係に応じた金額が支給されます。

熱中症を予防するには?3つの対策法を解説

一人親方の熱中症対策

 熱中症は重症化すると死に至る場合もあります。厚生労働省の「職場における熱中症の予防について」などを参考に、以下の対策を講じることをおすすめします。

作業環境を整える

 作業場所のWBGT(暑さ指数)を低減できるよう、熱をさえぎる簡易的な屋根や、ミストシャワーなど散水設備の設置を行ないます。ただし、散水設備の使用は湿度が上昇しやすく、地面も滑りやすくなる点に注意が必要です。
 また、作業場所が高温多湿になる場合は、近くに横になれる広さの涼しい休憩場所を設けるほか、体を冷やせる氷や冷たいおしぼり、シャワーや水風呂といった設備も整えます。

作業時間や作業体制を管理する

 高温多湿になる作業場所では、作業時間を短縮し、十分な休憩時間の確保が重要です。特に初心者や長期休暇明けの労働者には、体が暑さに慣れるよう熱への順化期間を設ける必要があります。
 また、水分や塩分の摂取を徹底するほか、透湿性および通気性の良い服装を着用します。冷却機能付きの作業服や、日差しをさえぎる帽子などの使用も効果的な対策です。
 作業中は、周囲の労働者同士で声をかけあい、監督者が定期的に現場を巡回して安全確保に努めることが重要です。

健康管理をしっかり行なう

 持病があると、熱中症のリスクが高まる場合があります。なかでも、糖尿病や高血圧症、心疾患、腎不全などを抱えている方は注意が必要です。事業主は、労働安全衛生規則(第43条、第44条および第45条)や労働安全衛生法(第66条の4および5)に基づき、健康診断で異常が見つかった場合には、医師等の意見を聞き、就業場所の変更や作業の転換など適切な措置を講じることが義務付けられています。
 また、睡眠不足や前日の飲酒なども熱中症の発症に影響を与えるため、日頃から体調管理を徹底しましょう。作業が始まる前には、体調不良がないかを確認することが大切です。

一人親方も労災に加入できるのか

一人親方労災保険

 労災保険は、国が運営する社会保険制度の一つで、一般的に、事業主に雇用され賃金を受け取っている労働者が加入対象です。
 しかし、会社に雇用されずに個人で仕事を請け負う一人親方の場合も、一定の要件に該当すれば、例外的に労災保険への加入が許されています。これを「労災保険の特別加入制度」といいます。
 労災保険の特別加入制度では、給付基礎日額に応じた額の補償を受けられるほか、通勤災害(通勤途中の災害)にも、一般の労働者と同様の補償が適用されるため安心です。一人親方の労災加入は任意ですが、建築現場での作業は危険がともない、高温多湿な環境では熱中症のリスクも高まるため、加入の検討をおすすめします。
 一人親方団体労災センター共済会では、一人親方向けの労災保険の提供を行なっており、最短で翌日の加入が可能です。費用は月額わずか450円(年払いで3,600円)で、支払方法は銀行・コンビニ・クレジットカードの3種類に対応しています。

参考:一人親方団体労災センター共済会

まとめ

 高温多湿な環境に体が順応できなくなると、熱中症になってしまいます。仕事中に熱中症になった場合は、作業環境や作業時間、本人の身体状況などにより、労災として認定される可能性があります。
 労災申請の際は、まず事業主へ報告し、医療機関を受診してください。その後、労働基準監督署に申請します。労災として認められると、療養補償給付や休業補償給付などさまざまな補償を受けられます。
​​​​​​​ 熱中症は、重症化すると死に至る場合もあるため、日頃から予防することが大切です。特に、一人親方の場合は熱中症の危険性が高くなるため、労災保険への特別加入をおすすめします。この機会にぜひ、検討してみてください。





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