【「フリーランス新法」まもなく施行、建設事業者の対応実態を調査】「フリーランス新法」を認知する事業者はわずか3割

〜フリーリンス新法を認知している事業者の8割以上が、「健全な契約関係を維持するために双方にとって重要な法律」と評価〜

労災センター共済会(本社:東京都江東区、代表:齊藤 学、https://hitorioyakata.or.jp/)は、一人親方に発注をしている建設事業者102名を対象に、建設事業者のフリーランス新法施行に関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。

調査サマリー

一人親方のフリーランス新法に対する意識

調査概要  

調査名称:建設事業者のフリーランス新法施行に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2024年7月2日〜同年7月3日
有効回答:一人親方に発注をしている建設事業者102名
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「労災センター共済会」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://hitorioyakata.or.jp/

7割強が、「フリーランス・事業間取引適正化等法」(通称:フリーランス新法)を「知らない」実態

「Q1.あなたは、2024年11月から施行される『フリーランス・事業間取引適正化等法』(通称:フリーランス新法)について知っていますか。」(n=102)と質問したところ、「はい」が29.4%、「いいえ」が70.6%という回答となりました。
フリーランス新法
  • はい:29.4%
  • いいえ:70.6%

フリーランス新法を認知している建設事業者の73.3%が、フリーランス新法の施行に向けて「社内準備を始めている」と回答

Q1で「はい」と回答した方に、「Q2.あなたの会社では、フリーランス新法の施行に向けて、社内での準備は始めていますか。」(n=30)と質問したところ、「はい」が73.3%、「いいえ」が26.7%という回答となりました。
フリーランス新法への準備
  • はい:73.3%
  • いいえ:26.7%

フリーランス新法の施行に向けての準備、「発注時の手順やルールの見直し」が77.3%で最多

Q2で「はい」と回答した方に、「Q3.フリーランス新法の施行に向けて、どのような準備を始めていますか。(複数回答)」(n=22)と質問したところ、「発注時の手順やルールの見直し」が77.3%、「業務委託内容の確認」が45.5%、「発注の様式や契約書の雛形の見直し」が45.5%という回答となりま
フリーランス新法への準備
  • 発注時の手順やルールの見直し:77.3%
  • 業務委託内容の確認:45.5%
  • 発注の様式や契約書の雛形の見直し:45.5%
  • 社内外や一人親方にフリーランス新法に関する周知:36.4%
  • 一人親方募集時の掲載情報の見直し:22.7%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:4.5%

「下請業者の再選定」や「行政手続き」などの準備も

Q3で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q4.Q3で回答した以外に、始めている準備があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=21)と質問したところ、「下請業者の再選定」や「行政手続き」など16の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>

  • 56歳:下請業者の再選定。
  • 51歳:行政手続き。
  • 54歳:状況の把握。

約7割が、一人親方に業務委託してきた中で、「委託業務内容や報酬の支払いなどに関する契約内容が明文化されず、『口約束』が行われたことがある」と回答

「Q5.あなたの会社で、これまで一人親方に業務委託してきた中で、委託業務内容や報酬の支払いなどに関する契約内容が明文化されず、「口約束」が行われたことはありますか。」(n=102)と質問したところ、「頻繁にある」が26.5%、「時々ある」が21.6%、「たまにある」が19.6%という回答となりました。
一人親方との契約
  • 頻繁にある:26.5%
  • 時々ある:21.6%
  • たまにある:19.6%
  • 全くない:17.6%
  • わからない/答えられない:14.7%

7割が、フリーランス新法の施行により「一人親方への業務発注に関わる業務負担が増えると思う」と回答

Q1で「はい」と回答した方に、「Q6.あなたは、フリーランス新法の施行により一人親方への業務発注に関わる業務負担が増えると思いますか。」(n=30)と質問したところ、「非常にそう思う」が23.3%、「ややそう思う」が46.7%という回答となりました。
フリーランス新法の一人親方への影響
  • 非常にそう思う:23.3%
  • ややそう思う:46.7%
  • あまりそう思わない:26.7%
  • 全くそう思わない:3.3%

一人親方への業務発注で増えると思う具体的な業務、「契約書の作成」「契約内容の確認作業」など

Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q7.負担が増えると思う具体的な業務を教えてください。(複数回答)」(n=21)と質問したところ、「契約書の作成」が71.4%、「契約内容の確認作業」が57.1%、「支払い条件の取り決め」が28.6%、「一人親方への説明や合意の取得」が28.6%、「社内の調整や承認手続き」が28.6%という回答となりました。
一人親方への仕事の発注
  • 契約書の作成:71.4%
  • 契約内容の確認作業:57.1%
  • 支払い条件の取り決め:28.6%
  • 一人親方への説明や合意の取得:28.6%
  • 社内の調整や承認手続き:28.6%
  • 業務委託内容の詳細な確認:23.8%
  • 一人親方の募集要項の確認:14.3%
  • ハラスメント対策にかかわる体制の整備:4.8%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:4.8%

8割以上から、「フリーランス新法の施行は、業務委託上のトラブルを避け健全な契約関係を維持するために事業者と一人親方双方にとって重要な法律」との声

Q1で「はい」と回答した方に、「Q8.フリーランス新法の施行は、業務委託上のトラブルを避け健全な契約関係を維持するために事業者と一人親方双方にとって重要な法律だと思いますか。」(n=30)と質問したところ、「非常にそう思う」が30.0%、「ややそう思う」が53.3%という回答となりました。
フリーランス新法について
  • 非常にそう思う:30.0%
  • ややそう思う:53.3%
  • あまりそう思わない:10.0%
  • 全くそう思わない:6.7%

まとめ 

 今回は、一人親方に発注をしている建設事業者102名を対象に、建設事業者のフリーランス新法施行に関する実態調査を実施しました。
 まず、7割強の建設事業者が、フリーランス新法※を「知らない」と回答し、新法を知っていると回答した事業者はわずか3割でした。一方、新法を認知している事業者のうち73.3%は、すでに新法施行に向けて準備を始めており、具体的な準備としては「発注時の手順やルールの見直し」が77.3%で最も多く、「業務委託内容の確認」と「契約書の見直し」がそれぞれ45.5%と続きました。さらに26.5%の事業者が、一人親方への業務委託において契約内容が明文化されず「口約束」が頻繁に行われていることがあると回答し、「時々ある」(21.6%)「たまにある」(19.6%)を含めると、約7割の事業者で「口約束」が行われたことがある実態が明らかになりました。最後に、83.3%の事業者が「新法が健全な契約関係の維持に重要」だと回答し、新法を評価していることもわかりました。
 今回の調査では、多くの建設事業者が新法に関する認知度が低く、施行に向けた準備が遅れていることが明らかになりました。新法施行により、一人親方と発注事業者間の取引の適正化や就業環境の整備などの改善が期待される一方で、多くの事業者で準備が進んでいないことが懸念される結果となりました。新法施行に伴い、契約書の内容や募集情報の表示の見直し、ハラスメントの対応など、事業者側の事務負担が増加することが予想されます。これらの課題に対応するためには、事業者は新法の内容を十分に理解し、必要な措置を講じることが求められます。新法施行が迫る中、早急に準備を進める必要があると言えるでしょう。

※中小企業庁|フリーランスの取引に関する 新しい法律が11⽉にスタート:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/freelance/law_03.pdf

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