一人親方ブログ

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偽装一人親方問題への国の取り組みや現場での対策を詳しく解説

 偽装一人親方とは、会社が雇用契約にある従業員を請負契約の一人親方として扱うことです。社会保険料や雇用保険料、残業代の節約などを目的として会社が偽装するケースがあります。偽装一人親方の解決を目指して、国や現場では啓もう活動や入場制限などの対策を取っています。

 一人親方として働く方にとって「偽装一人親方問題」は非常に重要といえるでしょう。偽装一人親方についての知識を持っていない場合、知らないうちに不利益を被る恐れもあります。

 本記事では、偽装一人親方とは何か解説するとともに、国の取り組みや現場での対策などを紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.偽装一人親方問題とは
    1. 1.1.請負契約と雇用契約の違い
    2. 1.2.偽装一人親方問題の目的
    3. 1.3.偽装一人親方かどうかのポイント
  2. 2.偽装一人親方が生まれてしまう背景
    1. 2.1.社会保険料の節約
    2. 2.2.労働関係法令が適用されなくなる
  3. 3.偽装一人親方問題に対して国が行う取り組み
    1. 3.1.リーフレットやチェックシート等を使った啓発活動
    2. 3.2.社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改定
  4. 4.偽装一人親方を働かせないための現場での対策
  5. 5.まとめ

偽装一人親方問題とは

 偽装一人親方問題とは、会社が雇用契約にある従業員を外注の一人親方として扱っていることを指します。

 もちろん、ある会社の従業員が独立して一人親方となり、もともと在籍していた会社の業務を請け負うことは何ら問題ありません。実際多くの一人親方は、正式に請負契約を結んで作業を行っていることでしょう。

 ここで問題となるのは、請負契約の形をとりながら、実態は雇用契約であるケースです。

請負契約と雇用契約の違い

 請負契約と雇用契約の間には大きな違いがあります。

 請負契約は、注文者からの依頼を受けて成果物を引き渡すことで報酬を得る契約のことです。

 たとえばクロスを貼る、床暖房を設置するといった業務を請け負い、実際に成果物を引き渡して報酬を得ます。成果物がなければ、どれだけ働いても報酬は得られません。注文者からの依頼を拒否できるのも請負契約の特徴です。

 一方、雇用契約は雇用主に指揮命令があり、労働者は基本的に雇用主の命令を拒否できません。また、成果物ではなく、時給や日給などが設定されているのが雇用契約の特徴です。

 さらに、雇用契約では、雇用主が従業員の社会保険料や労働関係法令会費を少なくとも半分支払わなければなりません。

偽装一人親方問題の目的

 雇用従業員を請負の一人親方として働かせる偽装一人親方問題は、社会保険料を免れることを目的にしているケースがあります。一人親方という請負契約と見せかけながら、実態は依頼を拒否できない雇用契約です。

 偽装一人親方によって、会社側はある程度の利益を得ます。しかし、労働者側にとっては不利益が大きく、深刻な問題となっているのです。

偽装一人親方かどうかのポイント

 一人親方として働いている方すべてが偽装一人親方であるわけではありません。

 偽装一人親方かどうかを見極めるポイントは、以下のとおりです。

  • 給与が時間給や日給である
  • 始業・終業時間などの就業規則が適用される
  • 仕事を断ることができない など

 偽装ではない通常の一人親方の場合、成果物に対して報酬が支払われ、始業時間や就業時間は自分で決めることが可能です。もちろん、依頼された仕事を断ることもできます。

 さらに、工具などの仕事道具を会社から貸与している場合も雇用契約とみなされることがあります。

 一つの会社の仕事しか受注できない、他社の仕事は受けられないというケースも偽装一人親方である考えられます。もしこれに該当する場合には、注意が必要です。 ケースによっては一人親方が気づかないうちに偽装一人親方として働いてしまっていることもあります。一度自分の状況を振り返ってみましょう。

偽装一人親方が生まれてしまう背景

 建設業界で問題視されている偽装一人親方問題ですが、なぜ会社のなかには従業員を一人親方として扱うところがあるのでしょうか。

 偽装一人親方が生まれてしまう要因2つについて、詳しく見ていきましょう。

社会保険料の節約

 偽装一人親方問題のもっとも大きな原因は、社会保険料の支払いです。

 前述のように、雇用契約の場合には雇用主が従業員の社会保険料の半分、もしくはそれ以上を負担しなければなりません。さらに、雇用保険料や児童手当拠出金も支払わなければなりません。

 従業員を一人雇用するのは、会社にとって大きな出費を意味するのです。

 従業員が多くなれば、支払わなければならない社会保険料や雇用保険料も増えるため、会社側の負担は大きくなります。とくに経営が不安定な中小企業の場合、少しでも社会保険料の負担を減らしたいと考えることもあるでしょう。

 そこで、社会保険料や雇用保険料などの支払いが必要ない請負契約の一人親方に見せかけてしまうことがあるようです。

労働関係法令が適用されなくなる

 偽装一人親方が増加した背景には、労働者を守る労働関係法令が適用されないこともあります。一人親方は請負契約となるので、労働基準法の適用外です。

 雇用契約を結んでいる従業員の場合、残業代を支払わなければなりませんが、請負契約の一人親方は成果物に対して報酬が発生するので残業代の支払いは必要ありません。

 休日に仕事をしても休日手当は必要なく、有給休暇も取らせずにすみます。

 会社が労働基準法などの法令を遵守する必要がなくなるため、偽装一人親方は非常に都合のよい形態といえるのです。

 請負契約と言うのはある意味において依頼した仕事に対して報酬を支払う以上のことをする必要がありません。

 会社が従業員を一人親方として請負契約にシフトするのは大体この2つの理由が大きいと考えられます。

偽装一人親方問題に対して国が行う取り組み

 偽装一人親方が問題視されるに従い、国も対策に取り組んでいます。

 国によってどのような対策が行われているのか、具体的な取り組みを2つ見ていきましょう。

リーフレットやチェックシート等を使った啓発活動

 国土交通省は偽装一人親方対策のための検討会を開き、リーフレットやチェックシートを使って会社や一人親方の理解を求めることを決めています。いくつかの条件に該当する場合には、偽装一人親方の可能性が高いといえます。

 偽装一人親方は雇用主と従業員の双方が加担している場合もあれば、どちらか一方が偽装しているケースもあります。会社と一人親方の双方に理解を求めることで、偽装一人親方の解消に役立てようとしているのです。

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改定

 国土交通省は2021年に「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」の改定を計画しています。

 この改定により、偽装一人親方問題を解消するためのより有効な施策を推進できると期待されています。

 元請会社の協力を得ながら、偽装一人親方の働き方が適切かどうかをチェックすることになるでしょう。

偽装一人親方を働かせないための現場での対策

 偽装一人親方として働かせないための対策は、国だけが行っているわけではありません。現場レベルでも対策を講じることで、偽装一人親方問題をさらに素早く解決することが可能です。

 国土交通省は偽装一人親方の現場入場を制限する方針を示しました。もし明らかに雇用形態にある一人親方がいた場合、下請けとして選定しないように求めています。

 現場がこの方針にしっかり従えば、偽装一人親方を抱える会社を排除することが可能です。もちろん会社側も、下請けの一人親方の実態が雇用契約になっていないかどうかをチェックしなければなりません。

 国と現場が一体となって対応することが、偽装一人親方問題を解決する近道なのです。

まとめ

 偽装一人親方問題はすぐに対応すべき問題

 本来、一人親方はその多くが個人事業主として独立して会社から請負契約に基づいて仕事をして、その対価として報酬を貰う関係です。この関係が通常に行われている限りにおいては何ら問題とはなりません。一人親方となった経緯はともかく、一人親方として働いているにも関わらず実態が請負契約ではなく限りなく雇用契約に近いような事例があり、それが今問題となっているわけです。

 偽装一人親方問題は、建設業界が抱える問題のひとつです。偽装一人親方問題は社会的な注目を集め始め、国も対策に本腰を入れるようになってきました。

 偽装一人親方が見過ごされることで、労働者に対する負担がかなり大きくなるため、適切な対処と解決が望まれています。

 偽装一人親方問題を解決するためには、現場と会社が一丸となって対応しなければなりません。現在一人親方として働いている方は、ぜひセルフチェックを行いましょう。偽装一人親方の問題をなくすにはまさに労働者としての要素をなくすことに他なりません。会社の方で、時間管理をしない、道具は一人親方に用意してもらう、仕事の進め方を管理しない、報酬は出来高で支払うなどが大事なポイントです。