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外国人の一人親方が増加中!労災保険の加入条件や取得すべき在留資格について

 近年労働力不足を補うため、外国人の一人親方が増加しています。外国人の一人親方は貴重な人材であり、在留資格には細心の注意が必要です。一人親方としての就労が可能な在留資格を取得しておけば、トラブルなく仕事を続けることができます。

 近年、外国人の一人親方がメーカーの仕事を請け負うケースが増加しています。外国人の労働力が国内に流入することにはメリットもある一方、外国人労働者自身には注意すべき点もあります。

 当記事では、一人親方が取得すべき在留資格に関する基礎知識について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.外国人の一人親方が増えている背景
    1. 1.1.企業のコスト削減
    2. 1.2.国による就職支援の充実
  2. 2.外国人の一人親方は在留資格の取得が必須
  3. 3.そもそも在留資格とは?その種類は?
    1. 3.1.就労に制限のない在留資格
    2. 3.2.就労に制限のある在留資格
    3. 3.3.就労が認められない在留資格
    4. 3.4.在留資格「特定技能」について
    5. 3.5.在留資格「特定活動」について
  4. 4.外国人の一人親方が在留資格を取得する方法
  5. 5.労災保険の加入に必要な書類
    1. 5.1.本人確認書類
    2. 5.2.在留資格
  6. 6.まとめ

外国人の一人親方が増えている背景

 外国人の一人親方が増加している背景には、企業側の都合が関係している場合もあります。

ここでは、外国人の一人親方が増えている原因を2つ紹介します。

企業のコスト削減

 近年問題視されているのが、「企業のコスト削減を目的とした一人親方化」です。

 2019年度に国土交通省が実施した建設会社への調査では、直近5年間に一人親方として独立した人数が増加したと回答した企業は26.1%を占めています。

 さらに、専属的に従事する一人親方を抱えている企業は全体の約3割に上ります。加えて、一人親方を抱える企業のうち約27%では直接雇用の社員よりも一人親方のほうが多くなっているのです。

 企業側としては、社員として雇用するよりも、独立して一人親方になれば社会保険や有給休暇などの負担が減るメリットがあります。そこで、一人親方として社員を独立させる企業が増加しているのです。

 これは「偽装請負」や「偽装一人親方」と呼ばれ、問題視されています。一部ではあるものの、外国人の一人親方が増加するひとつの要因であるといえるでしょう。

国による就職支援の充実

 外国人の一人親方が増加しているもうひとつの要因は、国として外国人に対する就職支援が充実している点です。

 結果的に外国人労働者が増え、それにともない、一人親方として働く外国人も増加しています。

 厚生労働省が発表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)」によれば、外国人労働者の数は2011年から2020年までの10年間で約2.5倍に増加しています。2016年から増加率は下がっているものの、労働者数は右肩上がりです。

 日本国内の労働者不足を補おうと、国として積極的に外国人労働者の雇用を促進する政策が講じられています。

 たとえば、外国人労働者と企業のマッチングシステムの構築、外国人留学生へのインターンシップの実施などが挙げられます。

 また、企業のなかには、外国人労働者に対応できるようマニュアルを多言語対応にしたり、特定の言語を話せる日本人社員を雇用したりしている企業もあります。

 より働きやすい環境づくりがなされていることが、外国人の一人親方増加の背景にあるのです。

外国人の一人親方は在留資格の取得が必須

 外国人の方が一人親方として働く場合、忘れてはいけないのが在留資格の取得です。在留資格がない場合、不法滞在者として処罰の対象となります。

 一人親方に限らず、外国人の方が日本国内で労働するためには、在留資格が必要です。外国人の一人親方を雇用する企業も、本人が在留資格を持っているかを必ず確認しなければなりません。

 もし個人や企業が外国人を一人親方として雇用する場合、業務内容が在留資格の範囲内か、在留期間を過ぎていないかをしっかり調査します。外国人の一人親方の在留資格の有無や資格の種類を確認する義務は雇用主にあり、これを怠ると刑事罰の対象となるため、注意しましょう。

 もちろん、一人親方として働く外国人側も注意が必要です。自分に許可されている労働の種類や期間をしっかりと把握しておかないと、気づかないうちに期限が切れていたり、資格外活動をしていたりということになりかねません。

 とくに、期限切れには注意が必要です。在留資格に適合した仕事をしていても、在留資格の期限が切れてしまうと不法滞在・不法就労になる恐れがあるため、十分注意しましょう。

そもそも在留資格とは?その種類は?

 そもそも外国人の一人親方が就労するために必要な在留資格とは、外国人日本に在留する法的な資格のことです。外国人が日本に在留する根拠となる資格で、いくつかの種類があります。

 ここでは、外国人が取得できる在留資格をいくつか見ていきましょう。

就労に制限のない在留資格

 まず、就労に制限のない在留資格があります。通常外国人の就労には制限が設けられるため、この在留資格は非常に特別なものです。

 就労に制限のない在留資格が該当するのは、以下のとおりです。


  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

 永住者の場合、在留期間は無制限で、そのほかの在留資格は最長5年が与えられます。

 上記4つに該当する在留資格者であれば、問題なく一人親方として就労できるため、企業としても雇用しやすいでしょう。

就労に制限のある在留資格

 一方で就労できる業務に制限のある在留資格もあります。

 この種の在留資格は以下が該当し、それぞれ就労できる業務が異なります。

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術
  • 人文知識
  • 国際業務
  • 企業内転勤
  • 介護
  • 興行
  • 技能
  • 特定技能
  • 技能実習

 たとえば、介護の場合は介護福祉士、医療の場合は医師や看護師、教育の場合は学校の語学教師などに就労可能です。

 指定されている業務以外に就労すると資格外活動を行ったとして処罰の対象となります。

就労が認められない在留資格

 在留資格のなかには、就労が認められない在留資格もあります。具体的には、以下の5種類です。

  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在 

 留学生の場合、資格外活動許可を得ていれば週28時間以内でアルバイトを行うことができます。それ以外は就労できない場合が多いため、注意が必要です。

 一人親方として雇用する際は、上記の在留資格ではないことをしっかり確認しましょう。

在留資格「特定技能」について

 「特定技能」とは産業機械製造業、電子・電気機器関連産業、素形材産業、介護、ビルクリーニング、建設、造船・舶用工業、自動車整備業、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14業種で許可されている在留資格で平成31年4月よりスタートしました。

 許可業種に建設業も含まれているため一人親方でも問題ないように思えるかもしれませんが、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」によると「雇用形態については、フルタイムとした上で、原則として直接雇用とする」とされております。そのため、請負契約を原則とする一人親方とは相容れない在留資格と言えます。就労ビザだからと言って、一人親方でもOKとは限りません。外国人の一人親方の加入手続きをする際には請負契約でも問題ないのか充分注意が必要でしょう。

在留資格「特定活動」について

 特定活動は一般的な在留資格に当てはまらない方のための在留資格です。特定活動の内容は人によって多種多様なため、別途「指定書」というものがパスポートに添付されます。その指定書の内容によって就労可能かどうかが記載されております。

外国人の一人親方が在留資格を取得する方法

 外国人の一人親方が在留資格を取得する方法は、在留資格取認定証明書の申請です。日本に入国してから自分で書類を作成し、入国管理局に提出して受理されれば在留資格を取得できます。

 しかし、申請書類の多くが日本語であることや、係員とのコミュニケーションの問題もあるため、申請は簡単ではありません。そのため、日本に入国する前に日本にいる雇用主や家族を代理人にして申請するケースが多くなります。

 行政書士や司法書士、弁護士などの資格保有者を代理人として在留資格の申請を行う外国人の方も少なくありません。

 司法書士や弁護士などの士業の場合、入国管理局とのやり取りなども代行してくれる場合があるため、外国人の一人親方の方にとっても大きなメリットがあります。

労災保険の加入に必要な書類

本人確認書類

 通常、一人親方の労災保険に特別加入する場合には本人確認の証明書が必要です。証明書として有効なものには運転免許証を提出する方が多いでしょうが、外国人の方は在留カードでの確認が一番有効ではないでしょうか。

 海外に旅行に行くにはパスポートが必要というのはご存知の方がほとんどと思います。また、入国するのにビザが必要というのもご存知かと思います。パスポート、ビザ、在留資格と何気なく使用する言葉には当然ですが意味があります。整理すると、パスポートとは身分証明書でその国(日本人なら日本政府)が発行するものです。これに対して、ビザは渡航先の国が発行する上陸許可証です。査証と言ったりもします。ビザを発行するのは、例えばフランス人が日本に入国する場合は在仏の日本大使館や領事館です。一人親方にとって大事なのは次に説明する在留資格です。

在留資格

 在留資格とは外国人が日本で滞在し、活動するための根拠です。許可された活動のみ日本で行うことが可能となっており、同時に在留期限も決められます。在留資格には大きく分けて3種類あります。

  1. 就労制限がない在留資格
  2. 決められた範囲でのみ就労可能な在留資格
  3. 就労ができない在留資格

 3の就労できない在留資格は「留学」や「短期滞在」等がありますが、そもそも就労できないため一人親方の労災保険に加入する余地はありません。なお、許可を得れば1週28時間の範囲内で就労することが可能となります。資格外活動許可という制度です。しかし、この制度は本来の在留資格による活動内容に支障が出ることなく、また臨時的なものに限られているため一人親方として働くのは無理があります。

 問題は2の決められた範囲でのみ就労可能な在留資格です。建設業の一人親方として働く場合に該当しそうな在留資格は多くありません。該当しそうなのは「技術・人文知識・国際業務」と「経営・管理」ではないでしょうか。経営・管理は500万円以上の出資や従業員2名以上など非常にハードルが高く、一人親方として働く方は少ないでしょう。では、技術・人文知識・国際業務はどうでしょうか?技術・人文知識・国際業務は「理学、工学その他の自然科学分野に属する知識を必要とする業務」とされており、単純作業は該当しません。建設現場での作業であっても熟達した技術は必要なく、単純作業に該当すると考えられる業務に就く場合は該当しないと考えられます。また、通常はホワイトカラー職を想定しておりますので、その点からも認められる可能性は低いと考えれます。このカテゴリーで一番該当しそうな在留資格が「技能」です。これは「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」とされており、まさに一人親方のような職人を対象としておりますが、建築の場合「外国に特有の建築又は土木に係る技能」で、かつ実務経験10年以上が必要とされているためマッチする方は極めて少数と考えられます。

 結果として、問題ないのは3種類の在留資格のうち、1の就労制限がない在留資格となります。一人親方にもなれますし、労災保険にも加入できると考えてよさそうです。ちなみに、就労制限がない在留資格は「永住者」、「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」があります。

まとめ

【外国人の一人親方は在留資格に注意を払おう】

 外国人の一人親方は増加傾向にあり、今後も増えていくと予想されます。

 人材不足が深刻な建設業などで重宝される一方、在留資格には細心の注意を払わなければなりません。不法労働はもちろん、資格外活動や在留期限切れなどによって処罰の対象となってしまう恐れがあるためです。

 外国人の一人親方を雇用する側も、働く側も在留資格を定期的に確認して、トラブルを未然に防ぎましょう。

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