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一人親方の判断基準の説明(建設業向け)

 「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する労働基準法の「労働者」の判断基準について」による労働者かどうかの判断(一人親方かどうかの判断)について大事な個所を紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.指揮監督
      1. 1.0.1.1)仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無
      2. 1.0.2.2)業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
      3. 1.0.3.3)拘束性の有無
      4. 1.0.4.4)代替性の有無
      5. 1.0.5.5)報酬の労務対償性に関する判断基準
  2. 2.労働者性の判断を補強する要素
      1. 2.0.1.1)機械、器具等の負担関係
      2. 2.0.2.2) 報酬の額
      3. 2.0.3.3)危険負担
      4. 2.0.4.4)専属性の程度
      5. 2.0.5.5)その他
  3. 3.その他の注意点
  4. 4.まとめ

指揮監督

1)仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無

 具体的な仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対して諾否の自由を有していれば、指揮監督関係の存在を否定する重要な要素となり、事業者性が強まる。

 ただし、断ると次から仕事が来なくなることなどの事情により 事実上仕事の依頼に対する諾否の自由がない場合や、例えば電気工事が終わらないと壁の工事ができないなど作業が他の職種との有機的連続性をもって行われるため、業務従事の指示を拒否することが業務の性質上そもそもできない場合には、諾否の自由の制約は直ちに指揮監督関係を肯定する要素とはならず、契約内容や諾否の自由が制限される程度等を勘案する必要がある。

2)業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無

 設計図、仕様書、指示書等の交付によって作業の指示がなされている場合であっても、当該指示が通常注文者が行う程度の指示等に止まる場合には、指揮監督関係の存在を肯定する要素とはならない。

 指示書等により作業の具体的内容・方法等が指示されており、業務の遂行が「使用者」の具体的な指揮命令を受けて行われていると認められる場合には、指揮監督関係の存在を肯定する重要な要素となる。
 工程についての他の職種との調整を元請け、工務店、専門工事業者、一次業者の責任者等が行っていることは、業務の性格上当然であるので、このことは業務遂行上の指揮監督関係の存否に関係するものではない。

 事故の発生防止のために、作業の方法等の指示は事業の性格上当然のことなので、指揮監督を強める要素とはならない。

 「使用者」の命令・依頼等により通常予定されている業務以外の業務に従事することがある場合には、使用者の一般的な指揮監督を受けているとの判断を補強する重要な要素となる。

3)拘束性の有無

 勤務場所が建築現場、刻みの作業場等に指定されていることは、業務の性格上当然であるので、このことは直ちに指揮監督関係を肯定する要素とはならない。

 勤務時間が指定され、管理されていることは一般的には指揮監督関係を肯定する要素となる。

 他職種との工程の調整の必要がある場合や、近隣に対する騒音等の配慮の必要がある場合には、勤務時間の指定がなされたというだけでは指揮監督関係を肯定する要素とはならない。

 労務提供の量及び配分を自ら決定でき、契約に定められた量の労務を提供すれば、契約において予定された工期の終了前でも契約が履行されたこととなり、他の仕事に従事できる場合には指揮監督関係を弱める要素となる。

4)代替性の有無

 本人に代わって他の者が労務を提供することが認められている場合や、本人が自らの判断によって補助者を使うことが認められている場合等労務提供の代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素の一つとなる。

 代替性が認められていない場合には、指揮監督関係の存在を補強する要素の一つとなる。

 労働契約の内容によっては、本人の判断で必要な数の補助者を使用する権限が与えられている場合もある。このため、単なる補助者の使用の有無という外形的な判断のみでなく、自分の判断で人を採用できるかどうかなど補助者使用に関する本人の権限の程度や、作業の一部を手伝わせるだけかあるいは作業の全部を任せるのかなど本人と補助者との作業の分担状況等を勘案する必要がある。

 急病等により作業に従事できない場合、本人が他の作業員を配置し、それに関する報酬が元請けより一旦本人に支払われ、そこから本人が作業に従事した者に対する報酬を支払う場合は事業者性を強める要素となる。作業員の手配を元請けが行う場合や作業員への報酬を元請けが直接行う場合は、指揮監督関係を弱める要素となる。

5)報酬の労務対償性に関する判断基準

報酬が、時間給、日給、月給等時間を単位として計算される場合には、使用従属性を補強する重要な要素となる。

 報酬が、1㎡を単位とするなど出来高で計算する場合や、報酬の支払いに当たって手間請け従事者から請求書を提出させる場合であっても、単にこのことのみでは使用従属性を否定する要素とはならない。

労働者性の判断を補強する要素

1)機械、器具等の負担関係

 据置式の工具など高価な器具を所有しており、当該手間請け業務にこれを使用している場合には、事業者としての性格が強く、労働者性を弱める要素となる。

 高価な器具を所有している場合であっても、業務にはこれを使用せず、工務店、專門工事業者、一次業者等の器具を使用している場合には、労働者性を弱める要素とはならない。
 電動の手持ち工具程度の器具を所有していることや、釘材等の軽微な材料費を負担していることは、労働者性を弱める要素とはならない。

2) 報酬の額

 報酬の額が当該工務店、専門工事業者、一次業者等の同種の業務に従事する正規従業員に比して著しく高額な場合には、労働者性を弱める要素となる。

 月額等でみた報酬の額が高額である場合であっても、それが長時間労働している結果であり、単位時間当たりの報酬の額を見ると同種の業務に従事する正規従業員に比して著しく高額とはいえない場合もあり、この場合には労働者性を弱める要素とはならない。

3)危険負担

 ミスによる損失、組立時の失敗などによる損害、建物等目的物の不可抗力による滅失、毀損等に伴う損害、施工の遅延による損害について責任を負う場合には、事業者性を補強する要素となる。

 業務を行うについて第三者に損害を与えた場合に、自ら責任を負うべきときも、事業者性を補強する要素となる。

4)専属性の程度

 特定の企業に対する専属性の有無は、直接に使用従属性の有無を左右するものではなく、特に専属性がないことをもって労働者性を弱めることとはならないが、労働者性の有無に関する判断を補強する要素の一つと考えられる。

 特定の企業の仕事のみを長期にわたって継続して請けている場合には、労働者性を補強する要素の一つとなる。

5)その他

 報酬について給与所得としての源泉徴収を行っていることは、労働者性を補強する要素の一つとなる。

 発注書、仕様書等の交付により契約を行っていることは、一般的には事業者性を推認する要素となる。ただし、税務上有利であったり、会計上の処理の必要性等からこのような書面の交付を行っている場合もあり、発注書、仕様書等の交付という事実だけから判断するのではなく、これらの書面の内容が事業者性を推認するに足りるものであるか否かを検討する必要がある。

 ある者が手間請けの他に事業主としての請負業務を他の日に行っていることは、手間請けを行っている日の労働者性の判断に何ら影響を及ぼすものではないため、手間請けを行っている日の労働者性の判断は、これとは独立に行うべきものである。

 独自の商号を使用している場合には、事業者性を補強する要素となる。

その他の注意点

 グループで仕事を請けている場合には、グループの世話役等が使用者になる場合も考えられる。したがって、グループによる作業の場合においては、グループの世話役と構成員の間及び工務店、専門工事業者、一次業者等とグループの構成員の間の使用従属関係の有無等を検討し、 グループの世話役が、労働者のグループの単なる代表者であるのか、グループの構成員を使用する者であるのかを、その実態に即して判断する必要がある。

 下請労働者に対して作業に関する具体的内容・方法等の指示がなされた場合、請負関係が否定される恐れがある。現在、雇用関係にない労働者に対して指揮監督することができるのは労働者派遣法だけだが、労働者派遣法に関して建設業は適用対象外の業務であることから問題がある。

 また、純然たる一人親方に対して指揮命令をした場合は偽装請負の問題が生じる。

 グループで業務を行い、グループ代表者がグループの構成員を使用する者であると認められる場合において、元請けがグループの構成員を指揮命令するケースではグループが派遣元、元請けが派遣先として労働者派遣が行われたと言えなくもありません。

まとめ

 いかがでしょうか?一人親方かどうかを判断する難しさがおわかりいただけましたか?非常に多くの要素が複雑に絡み合っています。一人親方として仕事をする方はもちろん一人親方を使用する会社も確認しておくべきことではないでしょうか。

 なお、近年、契約を請け負いにして一人親方として取り扱う、いわゆる偽装一人親方の問題が指摘されております。