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一人親方には売上台帳が必須!書き方・必要な項目・作成方法とは【参考例付き】

 一人親方として事業を営む場合、売上台帳を作成して日々の取引を漏れなく記録する必要があります。会社に属しているときは自分で売上台帳を記録することは少ないですが、一人親方になると自分で行わなければなりません。
 今までに売上台帳を作成した経験がないと、どのような書き方をすれば良いのかわからず、作成に時間がかかる可能性があります。スムーズに業務を行うには売上台帳の書き方を把握しておくことが重要です。
 本記事では一人親方の売上台帳の書き方や作成方法を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.一人親方に必須となる売上台帳とは
    1. 1.1.売上台帳とは
    2. 1.2.必要となる場面
      1. 1.2.1.収支管理
      2. 1.2.2.確定申告
      3. 1.2.3.所得税の計算
      4. 1.2.4.持続化給付金・補助金の申請
    3. 1.3.売上台帳として認められないもの
  2. 2.一人親方の売上台帳の書き方・必要な項目7選
    1. 2.1.タイトル・期間
    2. 2.2.申請者名
    3. 2.3.売上日
    4. 2.4.取引先
    5. 2.5.売上が発生した要因
    6. 2.6.売上金額
    7. 2.7.補助金・助成金の申請月
  3. 3.一人親方の売上台帳の代表的な作成例【白色申告】
  4. 4.一人親方が売上台帳を作成する4つの方法
    1. 4.1.手書きで作成する
    2. 4.2.表計算ソフトを使用する
    3. 4.3.会計ソフトを使用する
    4. 4.4.税理士に依頼する
  5. 5.一人親方が売上台帳を作るときの7つの注意点
    1. 5.1.売上台帳をつけないとペナルティの可能性がある
    2. 5.2.記入漏れをしないように確認する
    3. 5.3.定期的に記入する
    4. 5.4.売上が0円でも記入する
    5. 5.5.保存期間が決められている
    6. 5.6.プリントアウトする
    7. 5.7.「売上」と「雑収入」を分けて記入する
  6. 6.まとめ

一人親方に必須となる売上台帳とは

帳簿

 そもそも一人親方に必要となる売上台帳とは何でしょうか。売上台帳を作成する前に、基本情報を把握することで、どのような役割があるのかが見えてきます。
 こちらでは売上台帳の基本的な情報を解説します。

売上台帳とは

 売上台帳とは取引の中の売上を集計して管理するための台帳(帳簿)のこと。売上台帳では日付や取引先、売上金額などの項目を月ごとにまとめていきます。個人事業主が確定申告をする際、白色申告・青色申告のどちらであっても売上台帳を作成する必要があります。
 例えば電気工事の仕事を50万円で請け負った場合、売上台帳の売上金額欄に50万円と記載するのです。そして月ごとの売上合計を算出し、管理していきます。
 ただし、売上台帳には売上のみを記載するので、売上から経費を差し引いた利益とは違うので注意しましょう。

必要となる場面

 一人親方の売上台帳はさまざまな場面で必要となります。あらかじめ必要な場面を把握することで、適切な使い方ができるでしょう。

収支管理

 一人親方で事業を営む際は収入を支出が上回らないようにする必要があります。売上台帳を作成することで、毎日・毎月の収支を可視化できるようになります。すぐに必要な情報を把握でき、集計や分析などを行いやすくなるのです。
 一人親方は個人事業主であり、収支管理を行わないと自分の収入が把握できません。場合によっては収入がマイナスになって、給料がなくなる可能性があります。

確定申告

 確定申告をする際は売上金額の確認が必要となります。売上台帳で毎月の売上を管理することで、後から集計する手間を省けるようになります。また、確定申告では正確な内容を記載しなければならず、期限が迫っている状況で1年分の売上を集計すると、計算間違いが発生する恐れがあるでしょう。
 確定申告は記入漏れがあると、再度申請をしなければならず非常に手間がかかります。毎月の売上台帳を作成しておけば、後から作成する必要がなく、確定申告をスムーズに進められます。ただし、提出期限の翌日から7年間は確定申告の書類を保管する必要があるので注意しましょう。

所得税の計算

 一人親方として業務を営むと納税の義務が発生し、所得税をはじめとする税金を納める必要があります。所得税を計算するには、1年間の売上金額を把握しなければなりません。
 売上台帳を作成しておくと、1年間分の売上を簡単に集計できます。所得税の計算には売上台帳が欠かせないでしょう。

持続化給付金・補助金の申請

 持続化給付金・補助金などの申請には支給条件が定められています。多くの場合、売上の減少を証明できる書類の提出が求められるため、売上台帳を作成することで売上の減少をすぐに把握できます。
 そのため、売上台帳は持続化給付金・補助金などを申請する際の証明書類として有効です。今は補助金が必要なくても、一人親方は毎月の仕事が安定しないことから、売上台帳を作成しておくと将来お金で困ったときに役立つ可能性があります。

売上台帳として認められないもの

 持続化給付金の申請で必要となる売上台帳は必要な項目を記載していれば、フォーマットの指定がありませんが、どのような書類でも認められるわけではありません。
 以下の種類のように売上台帳として認められないものがあります。

  • 給与明細
  • 通帳の写し
  • 請求書
  • 領収書
  • レシート など

 売上台帳として認められないものでは持続化給付金の申請ができず、事業に必要なお金を受け取れないです。しっかり売上台帳を作成して、申請できるようにしましょう。

一人親方の売上台帳の書き方・必要な項目7選

 一人親方の売上台帳に必要な項目は決まっています。あらかじめ必要な項目を把握していると、スムーズに売上台帳を作成できるでしょう。
 こちらでは一人親方の売上台帳の書き方・必要な項目を解説するので、順番に見ていきましょう。

タイトル・期間

 売上台帳には、作成した書類が何なのかがわかるタイトルを記載します。書類のタイトルがあることで、見た人が何の書類なのかを素早く理解できます。加えて、売上台帳と関係のないタイトルにしてしまうと、後からデータを整理する際に探す時間がかかるかもしれません。例えば「売上台帳2022年8月」のようにすると、一目で何の書類なのかがわかりやすいです。
 また、売上台帳の期間も記載する必要があります。「2022年8月1日〜8月31日」のように、期間を記載すると対象の月をスムーズに確認可能です。

申請者名

 売上台帳の上部には屋号または氏名を記載する必要があります。屋号とは個人事業主が使用する商業上の名のこと。
 申請者名がない売上台帳は誰のものなのかが分かりません。売上の証明ができなくなる可能性があるので、忘れず記載しましょう。
 屋号を取得したい一人親方は、税務省に提出する開業届に屋号を記載して登録をしてみてください。

売上日

 売上台帳の日付欄には、取引で売上が発生した日付を記入します。例えば8月10日に発生した売上は「8/10」「8 10」のように記載するのです。
 売上が発生する基準は事業によってさまざまであり、自身の基準で売上日を記載しましょう。

取引先

 どの顧客との取引で発生した売上なのかがわかるように、取引先の名前も忘れず記載します。基本的に取引先は正式名称で記載します。例えば「株式会社ABC」との取引で発生した売上であれば、取引先欄に「株式会社ABC」と記入するのです。
 ただし、取引先の略称でも相手を特定できる場合は、略称の記入でも問題ありません。

売上が発生した要因

 売上台帳の内容欄には売上が発生した要因を記載していきます。例えば電気工事の売上であれば「株式会社ABCからの電気工事依頼に関する報酬(8月分)というイメージです。
 売上発生の要因は売上台帳の中でも重要な項目に当たるので、記載ミス・漏れがないようにしっかり記載しましょう。

売上金額

 売上台帳の金額欄には各取引の売上金額を記載します。後から確認した際に、素早く理解できるように売上金額を記載しましょう。
 消費税を支払っている場合は「税込」「税抜」のどちらなのかを明確にしておく必要があります。各取引の売上に加えて、月の合計金額も忘れずに記載しなければなりません。

補助金・助成金の申請月

 持続化給付金・補助金を申請する際は、前年と比較して売上が減少している月を申請します。売上台帳にはどの月が補助金・助成金などの申請月なのかがわかるように、忘れず記載する必要があります。

一人親方の売上台帳の代表的な作成例【白色申告】

確定申告

 一人親方の売上台帳に必要な項目を把握しても、具体的にどのように書けばよいか迷う方もいるでしょう。電気工事業の一人親方を例にして、白色申告の代表的な売上台帳の作成方法を解説します。
 2022年8月における売上は以下のとおりです。

  • 2022年8月1日:取引先Aから50万円で受注した電気工事が完了した
  • 2022年8月15日:取引先Bから50万円で受注した電気工事が完了した
  • 2022年8月20日:取引先Cから80万円で受注した電気工事が完了した
  • 2022年8月30日:取引先Dから30万円で受注した電気工事が完了した

2022年8月

摘要
売上金額
8/1

掛売上

A 電気工事
500,000
8/15

掛売上

B 電気工事
500,000
8/20

掛売上

C 電気工事
800,000
8/30

掛売上

D 電気工事
300,000

2,100,000

 売上台帳作成のフォーマットは決まっておらず、以下のルールを守っていればどのような形で作成しても問題ありません。

  • 所得の金額が正確に計算できるよう、総収入金額及び必要経費に関する事項を「整然と、かつ、明瞭に記録」する
  • 収入金額を「売上」と「雑収入等」に区分して記載する
  • 「取引の年月日」「相手方の名称」「金額」の事項は必ず記載する

 白色申告をする際は、代表的な作成例を参考にして売上台帳を作ってみてください。

一人親方が売上台帳を作成する4つの方法

会計ソフト

 売上台帳のフォーマットは決まっておらず、どのように作成するのかも決まりがありません。会計の知識がある場合は手書きで作成したり、スマホで手軽に作るなら会計ソフトを使用したりなど、自身に合う方法で売上台帳を作成しましょう。
 こちらでは一人親方が売上台帳を作成する方法を解説します。

手書きで作成する

 ノートやルーズリーフなどに必要な項目を記載することで、売上台帳を作成できます。手書きで表や必要な項目を記載するだけなので、費用をかけずに売上帳簿を作成可能です。
 ただし、売上帳簿の作成にはある程度の専門知識が必要になります。会計の知識がない一人親方は、手書きの方法だと慣れるまで苦労するかもしれません。
 また、全ての記入を自分で行うことになるので、記載ミスや漏れが発生する可能性が高いです。とくに計算間違いをしていると、全ての数字を計算し直さないといけないので、修正に時間がかかります。慣れないうちは売上台帳の作成に、想定以上の時間がかかるかもしれません。

表計算ソフトを使用する

 Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトを使用することでも、売上台帳を作成できます。関数を使用すると売上を入力するだけで自動計算をしたり、自身の使いやすいようにカスタマイズしたりできるのが特徴です。
 また、1から売上台帳を作成するのが大変な方は、Web上に公開されているテンプレートをダウンロードするのも1つの方法です。すでに枠組みができており、必要情報を入力するだけで簡単に売上台帳を作れます。
 ただし、パソコンに表計算ソフトが搭載されていない場合は、購入するための費用がかかるので注意しましょう。例えばExcelを利用するには「Microsoft 365 Personal」を購入する必要があり、年額12,984円の費用[1] がかかります。

会計ソフトを使用する

 freeeや弥生会計などの会計ソフトを使用すると、簡単に売上台帳を作成可能です。クラウド型のものであれば、アカウントを取得するだけでサービスを利用できるのです。画面の指示に沿って情報を入力すると、売上台帳を作れるので非常に操作が簡単になっています。
 どの会計ソフトにも使い方ガイドが用意されており、初心者でも迷わず作業を行えます。自分で1から売上台帳を作成するのが難しい方は、会計ソフトの使用が効率的です。
 ただし、無料で利用開始できますが、機能が制限されていることが多いです。その際、会計ソフトの全ての機能を利用するなら、有料版の契約をする必要があるので、あらかじめ無料の範囲を確認してみてください。

税理士に依頼する

 パソコン・スマホが苦手な方や、時間がない方は税理士に売上台帳の作成を依頼する方法もあります。費用はかかりますが、自分で作成する必要がないので他の業務に集中できます。また、会計のプロに売上台帳を作ってもらえるため、記入ミス・漏れをなくせるので安心でしょう。

一人親方が売上台帳を作るときの7つの注意点

 一人親方が売上台帳を作るときは、注意しなければならないことがあります。注意点を把握していないと、トラブルが発生するかもしれません。売上台帳を作成する前に、注意点を把握するのが重要です。
 一人親方が売上台帳を作成する際の注意点を見ていきましょう。

売上台帳をつけないとペナルティの可能性がある

 売上台帳は作成しないとペナルティを受ける可能性があるので注意が必要です。例えば確定申告で記載内容に不備があった場合、税務署から帳簿の提出を求められるケースがあります。
 売上帳簿を作成していなかったり、紛失していたりして税務署に帳簿を提出できないと、重加算税の対象になります。場合によっては脱税行為と判断され、罰則として納付税額の35〜40%の税金を追加徴収されます。
 また、青色申告の要件には帳簿の作成があり、帳簿がないと申請できません。加えて帳簿がないと、青色申告事業者の認定が取り消しになる可能性があります。青色申告の承認は過去に遡って取り消しできるため、過去の青色申告特別控除も取り消されるかもしれません。
 白色申告と青色申告など関係なしに、一人親方は売上帳簿を作成しましょう。

記入漏れをしないように確認する

 売上帳簿を作成する際は、記入漏れがないように正確な情報を記載する必要があります。帳簿の記入漏れが発覚すると税務調査が厳しくなる可能性があります。
 また、売上帳簿の不備があると、持続化給付金・補助金などを申請できないかもしれません。一人親方は収入が安定しないことがあるので、補助金を受け取れないと事業を継続できなくなる影響が考えられます。
 売上帳簿を提出する際は、記入漏れ・ミスがないように細かい部分まで確認してみてください。

定期的に記入する

 売上帳簿の記入を溜め込んで後からまとめて記入しようとすると、記入漏れ・ミスが発生する可能性があります。また、取引から時間が経つと、どのような内容の仕事だったのかを思い出しづらくなって、記入に時間がかかるかもしれません。できる限り毎日・毎週ごとに売上帳簿を記入するのが効果的です。
 一人親方は売上帳簿を自分で作成しなければならないので、就業前に10分確保する、毎週金曜日は売上帳簿の作成を行うなどのルールを決めましょう。すると、売上帳簿の記入が習慣化して忘れなくなります。

売上が0円でも記入する

 売上帳簿は売上が0円でも記入しなければなりません。売上がなかったという事実を記録するためです。売上がない月を空欄のまま帳簿を提出すると、記入漏れと判断されて認めてもらえないです。
 売上がない月の1行目は「◯月売上なし」として、合計欄に「0円」と記載しましょう。
 また、売上帳簿に売上0円と記載があると「なぜ売上につながらなかったのか」と振り返りができます。解決策の検討ができ、売上を伸ばせるヒントにつながるでしょう。

保存期間が決められている

 一人親方が作成した売上帳簿は、確定申告の提出期限の翌日から7年間は保存しなければなりません。確定申告が終わったからといって、保存期間が終了する前に捨てないようにしましょう。
 面倒だからと売上台帳を作成しなかったり、紛失したりするとペナルティを受ける可能性があります。作成した売上帳簿をファイリングやデータのバックアップをして、紛失しないように対策してみてください。

プリントアウトする

 売上帳簿を含む各種帳簿は、原則紙で保存する必要があります。パソコンやスマホで売上帳簿を作成した場合は、データをプリントアウトして紙で保存しましょう。
 ただし、電子帳簿保存法では一定の要件を満たした場合、電子データでの保存が可能です。例えば一貫してコンピュータで作成された帳簿は電子データとして保存できます。

「売上」と「雑収入」を分けて記入する

 売上帳簿では「売上」と「雑収入」を分けて記入する必要があります。雑収入とは本業の収入ではなく、本業に付随する収入のこと。持続化給付金の収入といったものが雑収入に含まれます。
 雑収入がある一人親方は、売上と分けて売上帳簿に記載しましょう。

まとめ

 売上帳簿は日々の取引を漏れなく記録して管理するために必要な書類です。面倒だからといって作成しないと、罰則を受ける可能性があります。収入や白色申告、青色申告に関係なく、一人親方として事業を営んでいる方は、売上帳簿を作成しなければなりません。
  一人親方が作成する売上帳簿にはタイトルや、申請者名などの項目が必要です。帳簿に必要な項目が記載されていないと、記入漏れと判断されて書類として認められないケースがあります。一人親方で売上帳簿を作成する際は、今回紹介した必要な項目を参考にしてみてください。

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