建設業で必須な熱中対策の施策5選!対処法や暑さ指数についても解説
建設業では、夏の暑い時期に熱中症になる作業員が後を絶ちません。熱中症は命にかかわる症状なので、休憩を設けたり水分補給を奨励したりして予防することが重要です。暑さ指数に気を配り、適切な対策を講じるとともに、応急処置の方法についても把握しておくようにしましょう。
当社の調査によると、2022年は猛暑で「熱中症に対する危機意識の高まり」を半数以上が実感していることが分かっています。
夏の時期に建設現場で注意しなければならないことといえば、熱中症ではないでしょうか。
熱中症になると命にかかわることになる恐れもあるので、熱中症対策はしっかり講じておくことが必要になります。
当記事では、建設業で取り組むべき熱中症対策や、熱中症の危険性を予測するために重要な暑さ指数について解説します。
目次[非表示]
- 1.建設業で必須な熱中対策の施策5選!
- 2.熱中症になりやすさを示す暑さ指数(WBGT値)とは
- 2.1.暑さ指数に関する指針
- 3.従業員が熱中症になった場合の処置
- 3.1.熱中症の症状を確認
- 3.2.水分を補給させる
- 3.3.症状が回復するかを確認する
- 4.まとめ
建設業で必須な熱中対策の施策5選!
当社の調査によると、2022年の夏、最も有効だった熱中症対策は以下のとおりになっています。
建設業では、多くの人が屋外や密閉された空間で働くので、熱中症対策がどうしても必要です。熱中症と呼ばれる症状の中には、熱疲はい、熱虚脱、熱けいれん、熱射病もしくは日射病という4つの種類がありますが、とくに熱射病は致命率が高く、緊急の治療を必要とします。
夏の暑い時期はもちろん、春や秋でも気温や湿度が高いのであれば熱中症対策を講じることが必要でしょう。
その中でも、建設業で必須といえる熱中症対策5つを詳しくご紹介します。
作業時間の短縮
建設業では、作業時間を短縮することで作業員の熱中症を防ぐ試みが行われています。
作業全体の時間を短くするだけでなく、連続して行う作業時間を短縮することで熱中症のリスクを下げられるのです。
たとえば、作業員のお昼休憩の時間を通常時よりも長くし、より多く休息が取れるようにしている会社があります。
また、1時間に1回は小休止を挟み、屋外や高温多湿の場所で連続して作業を行うことがないようにしている現場も少なくありません。
水分・塩分の補給
熱中症対策では、適切な水分・塩分補給が欠かせません。
とくに熱中症になる人は、自分が水分・塩分不足に陥っている自覚症状がないまま、脱水症状になっていることがあります。
そのため、喉が渇いているかどうかにかかわらず、作業前後に水分補給をさせたり、作業中であっても定期的に水分・塩分補給を推奨したりして熱中症を防げるでしょう。
休憩場所には水だけでなく経口補水液や塩分を多く含んだ飴を常備しておくことで、作業員の体調の悪化を防げます。
クールタオル
熱中症対策として普及してきているのが、クールタオルや冷却タオルです。
水に濡らして絞れば、数時間冷感が持続するタオルで、多くのメーカーが販売しているため安価に手に入れられます。
通常のタオルを水に濡らしてもある程度冷感が得られますから、建設業の方は意識して試してみるようにしましょう。
空調服
空調服は、服の中に小型のファンが取り付けられており、外気を服の中に取り込むことで涼しさを得られる服です。
空気が循環しているため、風によって汗の蒸発を助け、気化熱によって涼しさを感じます。
高温多湿の場所でも涼しいので、作業効率の向上が見込めるでしょう。
ただし、ファンが付いている分、空調服は他の作業着と比べてやや重く、粉塵の多い場所では使えないというデメリットもあります。
冷却スプレー
熱中症対策として取り入れやすい別のアイテムが冷却スプレーです。
今では、服の上から噴射しても高い効果が得られるスプレーが販売されているので、熱中症対策として1本購入するとよいかもしれません。
熱中症になりやすさを示す暑さ指数(WBGT値)とは
熱中症のなりやすさを測る指標として現在用いられているのが「暑さ指数(WBGT値)です。
暑さ指数とは、人体と外気の熱のやりとりに注目した数値で、気温だけでなく湿度や日射などを考慮して算出されます。
単位は温度と同じ摂氏「℃」ですが、気温とは異なる使い方なので注意しましょう。
暑さ指数に関する指針
暑さ指数は、数値によってどのような行動が奨励されるかが決まっています。
何も道具がなければ暑さ指数を測定するのは困難ですが、現在ではWBGT値を測定できる機器も販売されているので購入を検討してみましょう。
建設業では、暑さ指数が31以上になったら可能な限り作業を中断するのが望ましいです。
一般的には、気温が35度以上になると危険な水準となります。
暑さ指数が28から31の場合、熱中症危険性が高まっているので、10分から20分おきに休憩を取り、水分・塩分補給を行うのが望ましいでしょう。
暑さ指数が25から28であれば、熱中症の危険があるため30分おきに休憩を取ることが勧められています。
暑さ指数が21から25の状態であっても、熱中症によって死亡事故が発生する恐れがあるので、積極的に水分・塩分補給をするよう作業員に注意喚起を行わなければなりません。
暑さ指数が21未満であれば、建設現場で熱中症になる危険性はそれほど高くありません。
とはいえ、危険がまったくないわけではないので、作業員は適宜水分・塩分補給を行う必要があるでしょう。
この暑さ指数が一定の指標となりますが、体力があまりない人や肥満の人、暑さになれていない人、年齢が高い人は暑さ指数がそれほど高くなくても十分注意しなければなりません。
従業員が熱中症になった場合の処置
残念ながら、建設業では作業員が熱中症になってしまったり、結果的に亡くなってしまったりする事故が毎年のように起こっています。
熱中症になってしまったら、すぐに適切な処置を施すことで命が危険にさらされるのを防げるでしょう。
では、作業員が熱中症になってしまった場合の処置について見ていきましょう。
熱中症の症状を確認
まずは、作業員が熱中症になっているのかどうかを確認するため、熱中症の症状が現れているかどうかを確認します。
熱中症の症状はさまざまですが、主なものとしてはめまい、失神、筋肉痛、大量の発汗、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、高体温、けいれん、手足の運動障害などが挙げられます。
こうした症状が一つ、もしくは複数現れている場合、熱中症の疑いがあります。
もし意識がない場合にはすぐに救急車を呼び、応急処置を施します。
一方、意識がある場合には、いったん涼しい場所に移動させ、服を緩めたり体を冷やしたりする応急処置を行いましょう。
体を冷やすのであれば、首や脇、足の付け根が効果的です。
水分を補給させる
もし意識があり、自分で水分を補給できる状態であれば、水分と塩分を補給させましょう。
水分は重要ですが、それと同じほどナトリウムが必要です。
水を飲ませるよりも、スポーツドリンクや経口補水液の方がよいでしょう。
もし手元にスポーツドリンクなどがない場合、1リットルの水に対して食塩を1~2g加えた食塩水が有効です。
意識がなかったり呼びかけに対する反応が薄かったりする場合には、無理に水を飲ませないように注意しましょう。
水分を補給させても飲み込めず、窒息してしまう恐れがあるからです。
症状が回復するかを確認する
水分を補給させた後は、症状が改善するかどうかを確認します。
もし水分と塩分を補給し、症状がよくなったのであれば、作業は続行させず回復するまで休ませたうえで帰宅してもらいましょう。
症状がなくなったと思っても、体には負担が大きな負担がかかっていることを覚えておくべきです。
一方、症状が改善しない場合には、本人が倒れた時の症状を知っている人とともに医療機関を受診するのが最善です。
まとめ
業務中の熱中症は労災の対象!対策や予防が大切
業務中に熱中症になり、入院することになったり死亡することになったりしたなら、労災の対象になります。
しかし、熱中症になる前に対策を講じ、予防することが何よりも重要です。
建設業では、熱中症対策をしっかり行い、みんなが元気に仕事をできる環境を整えましょう。